第5回
その4 “果実はどこにある?
2011.06.14 [山田 英次]
皆さん、こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの山田英次です。
前回までのコラムで、『複利の効果』についてお伝えしてきましたが、皆さんは、どのような印象を抱きましたか?
改めて意識していただきたいのは、資産形成において、『複利の効果』は、皆さんの味方にも敵にもなる可能性があるということです。
少々乱暴な言い方をすれば、この特性を理解しているのが富裕層であり、彼らは、『利息が利息を生み続けるうま味』を堪能し、労せずして富を築いているのです。
それに対して、貧困層の方は、過度のキャッシングや、クレジットのローン、背伸びしすぎた住宅ローンに付随する負の『複利の効果』がいつも重荷としてのしかかっていますから、いつまでたっても、生活にゆとりを持つことができません。
石川啄木の『我を愛する歌』には、以下の様な有名な一節がありますが、負の複利の効果に苦しんでいる人の心の中にも、同じような感覚があるのではないでしょうか。
はたらけど
はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり
ぢっと手を見る
複利の効果を敵に回すこととは、すなわち、労働によって得た収入のなかから相当の金額を第三者に(利息として)支払い続ける人生を歩むことと言い換えられます。すると、必然的に家計は逼迫してくるのですが、多くの場合、当の本人がその原因に気づいていません。資本主義経済の落とし穴は、あちらこちらに存在するのです。自己責任と言う言葉は、資産運用にチャレンジしている人だけに求められるものではなく、資本主義経済で暮らす全ての人に求められる言葉なのです。
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