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第30回
突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)。回復が期待できるチャンスは発症から2週間

突然耳の聞こえが悪くなる原因不明の病気

浜崎あゆみさんや相田翔子さんら有名芸能人が患ったことで有名になった突発性難聴。ある日突然、片耳(まれに両耳)の聴こえが悪くなる病気だ。
聞こえが悪くなると同時に、耳が詰まった感じや耳鳴り、吐き気やめまいなどを起こす場合もあるが、特に痛みはない。

「何月何日の何時何分に発症した」と、聞こえが悪くなった瞬間を記憶している人も少なくないが、「朝起きたら聞こえないことに気がついた」という人もいる。
「オフィスで普通に仕事をしていて、電話が鳴ってとったら相手の声が聞こえなかった。受話器が壊れたのかと思った」という人がいるくらい、突然発症するケースがめずらしくない(数日かけて聞こえなくなる人ケース含めるが、長い期間かけて徐々に悪化した場合は除外)。

発症時の発作は1回限り。
再発しないのが特徴で、もしも再発した場合には、外リンパ瘻(ろう)や聴神経腫瘍(しゅよう)、メニエール病など、ほかの病気が考えられるという。
また、難聴の中には発症頻度が突発性難聴の2倍で、耳が詰まった感じがする急性低音障害型感音難聴もある。放置しても8割は自然治癒するが、自己診断は禁物だ。

「突発性難聴の原因や発症メカニズムはまだはっきりと解明されてはいませんが、有力なのはウイルス感染説と内耳の血流障害説です。その発症の引き金には、ストレスや過労による免疫力の低下が関係していると考えられています」
と説明するのは、東京医科歯科大学附属病院・耳鼻咽喉(いんこう)科の喜多村健医師。

厚生労働科学研究・急性高度難聴に関する調査研究の主任研究者を務めた経験もある「難聴」のスペシャリストだ。

難聴になったら遅くとも2~3日以内に受診を!

喜多村医師が陣頭指揮をとって行った調査では、1993年には突発性難聴で医療機関を受診していた人の数は年間24,000人。人ロ100万人対で192.4人だったのが、2001年には年間35,000人。人ロ100万人対で275.0人に増加したことが分かっている。

「年々増加傾向にあり、男女差はなく、発症ピークは以前は40~50代でしたが、現在は50~60代。患者さんの年齢が高くなっていることを考えると、発症には加齢も関係しているのかもしれません」(喜多村医師)

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