人生を謳歌する糖尿病生活のススメ

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第10回
新薬で血糖値を下げ、白内障を手術。また本が読めるようになったYさんの場合

画期的新薬の自己注射でヘモグロビンA1c値を下げる

Yさん(男性)は60代。仕事は引退し、今は家庭菜園と山登り、読書を楽しみながら、悠々自適な生活を送っている。

糖尿病患者歴は10年以上。
一病息災をめざし、元気なまま天寿を全うしたいと思ってはいるが、食いしん坊ゆえにダイエットは挫折気味、さらに最近は白内障が進行して目が見えなくなってきた。
「メガネをかけても本が読めない。私は読書が趣味で、年間200冊は読んできたのです。それができないというのは、人生の楽しみの半分を失うようなものなので、手術を決意しました。眼球にメスを入れるのはイヤですが、背に腹というか目に腹は代えられませんよ。
ところがです、眼科医が手術は出来ないというのです。
ヘモグロビンA1c値と血糖値が高過ぎるから、下げてから来てくださいと」

Yさんは、それまで通っていた病院をやめ、牧田医師のクリニックを訪れた。
「それまでも糖尿病専門医ではありませんが、ちゃんと通院して、薬ももらっていたんですよ。
ただ、正直、数字はそれほど気にしていませんでした。ストレスになって、逆に体に悪い気がして。
もらった薬を素直に飲んで、自分にできる範囲でダイエットしていればそれでいいと。危機感なんてまったく抱いたことがなかったんです」

クリニックを訪れた時、YさんのヘモグロビンA1c値は10.0、血糖値は空腹時が180、食後は300近く。
手術を可能にするには、ヘモグロビンA1c値を8.0以下、血糖値は食後でも250を下回るようにしなくてはならない。

牧田医師は、当時の新薬・ビクトーザ(ノボノルディスク社)を提案した。
これは膵(すい)臓からのインスリン分泌をコントロールしているホルモン(小腸から分泌される)で、1日1回の注射で、低血糖を起こさず安全にHbA1cを2%も低下させる。

「え、注射ですか?と思いました。
笑われるかもしれませんが、怖かったですよ、注射なんて。
まして自分で打つなんて…ねぇ。
無理だと思ったんですが、みなさんやっているというし、低血糖を起こす心配もなく、簡単で効果もあるとおっしゃるので試してみました」

結果、Yさんの数値はみるみる改善。
3カ月後には6.2まで下がり、白内障手術を受けることができた。
「最初は怖かった注射ですが、いまはちょっと楽しみでもあります。どんどんよくなっているからです。
顔を洗うのと同じくらい、もう朝の習慣になっています」

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