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第10回
深くて、本当はおもしろい――国語辞典の世界

2012年を代表する小説の一つになりそうな『舟を編む』(光文社)、皆さん、もう読みましたか。本屋大賞に選ばれ、来春には映画も公開される予定のこの物語は、馬締(まじめ)君という名前どおりのまじめで、不器用な青年が辞書編集部に配属され、『大渡海』という国語辞典を個性豊かな仲間たちと作っていく内容です。編集者が主人公になる小説は少なくありませんが、編集という仕事自体がストーリーの中心となった読み物は珍しく、興味深かく読みました。働くことの意味、言葉の大切さなど、楽しく読み進めながらも、ハッとさせられるような表現が散りばめられていて、お薦めですよ。さて、この小説がベストセラーになったことで、国語辞典に興味を持つ人が増えています。日本語教育も、日本語という言葉を使う仕事ですから、今回は、国語辞典について、書いてみますね。

「国語辞典って、言葉を定義しているだけだから、どこの出版社の辞書を使っても、同じじゃないの」と、思った方、いらっしゃいませんか? 私も、実は、最近までそう思っていました……。でも、国語辞典って、1冊1冊にその辞典ならではの性格があって、知れば知るほど、奥深い世界が広がっているみたいなんです。

9月末、取材で、『舟を編む』著者の三浦しをんさんと、お笑い芸人のサンキュータツオさん(以下、タツオさん)に、国語辞典の魅力について語り合っていただきました。ちなみに、タツオさんは、日本語学で博士号を修めた、学者でもあり、100冊近くの国語辞典コレクターでもあります。対談は大いに盛り上がりましたが、お二人によると、国語辞典には、作り手による言葉に対する哲学が込められていて、それが人間と同じように、辞典ごとの個性となっているそうです。そして、絶対的な正解はない「言葉」というものを、どう捉えて、伝えるかを国語辞典たちが競い合う姿に、お二人のような国語辞典好きは「萌える」そうです。

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