江戸の名残を歩く

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第32回
浅草で江戸城の面影に出会う

台東区というと、江戸を象徴する町として浅草がありますが、浅草橋という名前の町もあります。3回にわたって浅草に近い浅草橋界隈で江戸を探してみましょう。

浅草橋の問屋街

JR総武線と都営地下鉄浅草線が乗り入れる浅草橋駅を出て、江戸通りに出ます。浅草橋と言えば人形問屋や玩具問屋の町として知られています。江戸の頃に創業した店の名前が、すぐ目に飛び込んできます。

浅草橋駅から浅草橋へ向かう
浅草橋

江戸通りは、浅草寺に向かうメインストリートとして賑わいました。江戸通りを北に2キロほど歩くと浅草寺に着きますが、逆に南へと向かってみましょう。線路を潜ると、やがて前方に橋がみえてきますが、これが駅名や町名の由来となった浅草橋です。浅草橋が架けられたのは、徳川家康が死去した元和2年(1616)のことです。

浅草橋から神田川を見る。お茶の水方面を見る

浅草橋は神田川に架かる橋です。神田川は江戸の頃は神田上水ともいいました。井の頭池を水源として、玉川上水とともに江戸っ子に飲み水を送り届けましたが、この辺りの神田川は江戸城を守る役割も担っていました。いわば、江戸城外堀だったのです。


浅草橋から隅田川を臨む

神田川もここまで来ると、終わりです。目と鼻の先に隅田川が流れています。浅草橋には、屋形船がいくつも繋留されています。浅草橋の近くには柳橋という橋も架かっていますが、この浅草橋と柳橋界隈に繋留されている屋形船が春や夏になると、隅田川見物の人々を乗せて隅田川に押し出されていきます。江戸の頃も、まったく同じでした。

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