“その時”では遅い相続の話

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第2回
残された家族のことを考えるなら、公正証書遺言がおススメ

みなさんは遺言に種類があることをご存知でしょうか? 民法では、遺言の種類を定められており、普通の人が作成する遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。このほかにも、遺言の種類はいくつかありますが、一般的に使われているのはこの二つなので、今回は、この二つの違いについて話を進めます。
表にそれぞれの長所、短所などをまとめました。まず、自筆証書遺言から説明していきましょう。

自筆証書遺言は、書く人は簡単ですが、残された人が大変です。

自筆証書遺言は、全文と日付、氏名を自分で書き押印するものです。とても手軽で簡単に書くことができます。ひとりで書くことができるので、内容を秘密にすることができますし、費用もほとんどかかりません。
しかし、相続が起こった後、遺言書を保管していたり、発見した人は、家庭裁判所にそのままの状態でもって行き、後日、法定相続人の立会いのもとで遺言書を開封して、内容を確認する検認という手続きが必要となります。このような手続きは、とても面倒で、時間もかかります。
また、無効になったり、紛失してしまったりすることもあります。書いてある内容がわかりにくくて、その解釈で揉めてしまうことも多くあるのです。

公正証書遺言は、書く人は面倒ですが、残された人が安心です。

公正証書遺言は、公証役場で公証人に書いてもらう遺言です。原則として公証役場に行かなければならないので少し面倒で、費用もかかり、証人(立会人)が必要になります。
しかし、財産を受け取る相続人にとっては、検認しなくてよいので手間が省け、すぐに確認し実行することができます。
また、公証人は法律の専門家なので、無効になることはほとんどなく、内容が明確で証拠力が高いので、トラブルになる可能性が少なくなります
そして、公証役場で原本が保管されているので、なくなったり、勝手に変更されたりすることもないので、安心です。

遺言は書く人(本人)のためではなく、
残された人(家族)のためのものです。

このように自筆証書遺言と公正証書遺言にはそれぞれ長所と短所があります。では、どちらがよいのでしょうか。それは、遺言は誰のために書くか、ということを考えればわかることです。
遺言は書く人(本人)のためではなく、残された人(家族)のためのものです。なぜならば、遺言が実行されるときには、書いた人はこの世の中にいないからです。
残された家族のことを考えるなら、できれば公正証書遺言を選択することをお勧めします。家族の負担がより少なくて済むのですから。

【図表】公正証書遺言と自筆証書遺言

なお、本文は特定の商品などの勧誘を目的とするものではなく、
文中の意見にあたる部分は筆者の見解であり、三菱UFJ信託銀行を代表するものではありません。

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