内山悟志の悠々快適エイジレスライフ

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第39回
シチリアの歴史探訪(その1)

ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレの
柱列で囲まれた中庭

次に向かったのはシチリアの中央部に位置するピアッツァ・アルメリーナの郊外にある古代ローマの別荘(ヴィッラ)「ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ」だ。ローマ時代に描かれたモザイク絵画が数多く残っており、1997年にユネスコの世界遺産に登録されている。ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレの建設が始まったのは4世紀のはじめの頃と推測されているそうだ。
中央部には柱列で囲まれた中庭が設けられて北西側には浴場があったとされる。ローマ時代の浴場といえば映画「テルマエロマエ」を思い出させる。実際に別荘として使われていたのは約150年間程度で、12世紀には完全に使われなくなって一部は農地となって忘れ去られていたとのことだ。19世紀に数本の円柱が再発見され、その後何度かにわたって発掘されたという。建物内の面積は3500平方メートルと壮大で、50を超える部屋が配置されている。
何よりもすばらしいと感じたのは、ほぼ全室の床を埋め尽くすモザイク画の質の高さと規模だ。このモザイク画は古代ローマ時代最大ともいわれている。鮮やかな色彩の細かなタイルを多数敷き詰めて、非常に緻密に描かれている。アフリカの影響を受けたためか像やライオンなど動物、ビキニの女性など斬新な図像も描かれており、この時代からローマ人が高い芸術性を持っていたことが伺われる。
贅をつくした建物であり、当時この地まで経済力を及ぼした古代ローマ文明の強大さを感じ取ることができる。

ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレのモザイク画


シチリアはどこに行っても歴史を感じさせる建物が多数残っており、とても一度では紹介しきれない。この続きはまた次回としよう。

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