内山悟志の悠々快適エイジレスライフ

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第30回
植物工場で作られた野菜を食してみる

植物工場で野菜が栽培され、すでに市販されているものもあるというのをご存じたろうか。今回は、植物工場の現状と可能性を紹介するとともに、実際に食べてみた感想を述べる。

植物工場とは、環境を制御できる閉鎖的または半閉鎖的な空間で、植物を計画的に生産するシステムおよびその生産施設を指す。植物工場による栽培方法を工場栽培と呼ぶこともある。
植物工場には、ビル内などに完全に環境を制御した閉鎖環境をつくる「完全制御型」の施設と、ガラスハウスなどの中で太陽光を利用しつつ、悪天候の際に正目などにより光源を補ったり、温度制御を行ったりする「太陽光利用型」の施設がある。ここでは、「完全制御型」の植物工場を中心に紹介する。
日本施設園芸協会(JGHA)の調査によると、国内にある植物工場の数は2012年3月時点で210か所、2013年3月時点で304か所、2014年3月時点で383か所と年々増加している。手掛ける事業者は多岐に渡っており、専業事業者以外に電器メーカーや建設会社など大手企業の参入も多い。外食チェーンが自社店舗の食材を生産するというケースもある。
工場で植物を生産するメリットはいくつかある。第一に、気象変動の影響を受けることがないため、凶作がなく、一定の量と品質、周年で安定的な生産が可能という点である。また、完全に閉鎖された工場などの施設であれば病原菌や害虫の被害にあうこともない。家庭菜園などをやっている読者であれば、天候不順や害虫などによって被害を受けた時の落胆を経験したことがあるかもしれないが、生産者であればこれらによる不作は生活がかかっている重大な問題であることはいうまでもない。
病原菌や害虫が侵入しない施設であれば、それらを予防・駆除するための農薬を使う必要もないため、無農薬による安全な食用植物の生産が可能となる。また、土などの付着もないため、無洗浄または簡易な洗浄のみで食べることができ、手間や水道費を削減することもできる。
植物の生育にとって最適な環境を作り出すことで、短期間での成長を促進させることができ、年十数作することができる植物もある。
それでは、植物工場でどんなものが作られるのだろうか。現在のところ、養液栽培が可能である程度採算が見込めるものとして、リーフレタスなどの葉物野菜と一部のハーブ類が中心であり、さまざまな野菜を生産できるようになるには、さらなる技術開発が必要であるようだ。



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