松本すみ子の「@シニア」

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第11回
“今日行くところ”を探しています

居場所提供ビジネス始まる

4月です。新しい世界に踏み出した人も多いと思いますが、「@シニア」がまず取り上げたい話題は、なんといっても、いよいよ本格的に団塊世代の退職が始まるということです。2006年の改正高齢者雇用安定法によって、60歳でいったん定年退職したものの、会社の再雇用制度の恩恵をうけて、首尾よく65歳まで働く機会を得た方がたくさんいました。

しかし、その人たちも順次65歳を迎え、再雇用は終了です。「さあ、どうしようか」と思案している人が多いのが事実なのです。再雇用の終了時期は分かっていたのですから、この5年間で、その後の人生設計を考えてほしかったのですが、“今日行くところ”が、相変わらず会社だったというのがくせ者でした。現役時代の意識のままにずるずると毎日が過ぎてしまって、あっという間の5年間だったというのが、案外、正直な感想ではないでしょうか。

さて、彼らにとって、会社に代わる“今日行くところ”はどこになるのでしょうか。そうした居場所を提供しようとするビジネスが動き出しています。

ひところ、メディアで頻繁に取り上げられたのはゲームセンター。パチンコのようにたくさんのお金を使わなくても遊べるので、お年寄りの暇つぶしにいいとか、仲間づくりの場所にもなっていると注目されました。昨年は、ゲームセンター運営のアドアーズが、有料老人ホーム運営のユニマットと連携して、シニア市場の開拓に乗り出すという話もありました。年代や性別による好みの機種などを実際の店舗で調べて、シニア向けサービスの向上だけでなく、次世代アミューズメントの開発にも生かすのだそうです。

ただ、団塊世代シニアがゲームセンターでの暇つぶしに喜びを見出すかというと、私には少し疑問が残ります。ゲームから何かが生まれるわけではありません。ゲームは老人施設のリハビリや老化予防のほうにこそ効果的なのではと思います。

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