松本すみ子の「@シニア」

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第15回
LCC、成功のカギは地方空港発 ~価格だけでない旅の喜びを多くの人に~

日本の強み・おもてなし精神を忘れないで

先日のテレビ番組で、LCCを利用した乗客に、従来の航空会社に比べてサービスが劣るのをどう思うかと聞いていました。「今までも特にサービスを頼んだことはないので問題ない」とか「安いほうがありがたい」という意見が多数でした。私も、国際線で頼みもしないのに時間になると起こされて、夕食なのか、朝食なのかわからない食事を配られることにはへきえきしています。座席を予約したときに、食事はいるかどうかを聞けばいいのに。
ただ、サービスが必要かどうかは、どういう目的で利用するかによると思います。田舎に帰省する、仕事で利用するという人には、目的地に到着するということが一番なので、ことさらにサービスは必要ないかもしれません。しかし、旅を楽しむこと自体が目的の人や高齢者・体の不自由な人などには、絶対に必要なサービスがあります。そういう方々は従来の高い運賃の飛行機を使ってくださいということなのでしょうか。
番組のキャスターは「新幹線に乗ったと思えばいいです。新幹線には特にサービスはありません」と言っていました。ただ、その新幹線は今ではグリーン車、ファーストクラスを設置して、質の高いサービスという付加価値で稼ごうとしています。サービスの選択肢を増やしたのです。
LCCもサービスは有料で選べるのですが、どういうわけか「サービスはありません」式の否定的なアピールが強いように思います。最近、スカイマークの「乗務員はサービスのためにいるのではありません」とか「クレームは受け付けません」などという接客コンセプトが批判の的になっています。
これは「経費切り詰めで余裕がありません」ということを自ら暴露しているようなもので、最悪のイメージ戦略ですね。同じことをやるにしても、「基本はこれこれまでですが、有料でこんなにサービスが選べます」式のプラスアピールにすればいいのです。「No!」と最初から否定しないで、どんどん有料のサービスを増やし、「Yes!Yes!」とたくさんお金をいただけばいいではないですか。座席だって、1種類ではなくて、プラス料金の幅広座席があってもいいかも。
少なくとも日本発のLCCは、日本のよさである「おもてなし」の精神を忘れてほしくありません。海外のシステムのいいところは取り入れるにしても、日本のいいところは大事に受け継ぐことが、結局は差別化につながり、国際競争に勝てる極意です。それはすでに多くの業界で実証されていることです。

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