松本すみ子の「@シニア」

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第25回
これからシニアに受ける商品・サービス予測

高くないオーダー、私だけの靴

地下鉄の改札を出たら、「オーダー・シューズ 9999円」という看板が目に入りました。「オーダーが9999円でできるわけない!」 まずは、そう思いました。でも、あったんです。それは今年、新宿丸井にできた婦人靴専門のオーダーショップ「KiBERA(キビラ)」。3次元計測器で測定した後、用意してある素材から選んでオーダーできるそうです。
実は私、気になってはいたものの、忙しくて未体験。この年末年始に行ってみようと思います。たぶん、最初は若い人向けのデザインが多いのでしょう。しかし、このジャンル、絶対、シニアに受けると思います。年齢が高くなると、外反母趾や足の変形に悩む人、また、膝や腰などの関節にも問題がある人が増えます。自分に合った靴が見つからない人は大勢います。
こう書くと、昔からオーダーシューズ店はあって、お金持ちのシニアは利用していたじゃないかと思う人もいるかもしれません。でも、高価では普及しません。一部の人しか買えないなら、ヒットとはいえません。シニアが皆、お金持ちではないのです。普通の人が普通に作れる靴。これが大事です。
そして、いくつになってもハイヒールを履きたい人がたくさんいます。ぜひ、そうした女性も履けるハイヒールの提供をお願いしたい。銀座をハイヒールで歩くおしゃれなシニア女性が増えたら素敵ですよね。
今後はあらゆるものに、手軽に作れるオーダー・“自分だけのもの”というコンセプトが、特にシニアにとってはキーかもしれません。

お試しプログラムで購買意欲を刺激

今は通販で買ったものは、10日~1か月以内なら返品が可能になりました。スカートを買ったとき、イメージが違うので迷ったあげくに返品することにしました。実は、付いていたタグを全部取ってしまっていたし、半月も経っていたので、果たして返品に応じてくれるかどうか心配でしたが、問題なく、受け取ってくれました。これは、 “お試し購入”を認めていることと同じではないでしょうか。
また、少量で、あるいは格安で試してもらって、その後、よければ継続してもらう方式も増えてきました。サプリメントや化粧品メーカーなどはこの方法を盛んに利用しています。初めての方には1,500円で送料も無料、通常は6,000円などというキャンペーンがそうです。
それなら、いっそのこと、気になるものがあれば、まずは試してもらうシステムをもっと進めてはどうでしょうか。
シニア世代に関していえば、新製品にすぐに飛びつくことはしません。だからといって、流行のものに鈍感ではないのです。若い人の流行が半年ほど遅れてやってくるという現象は、そうしたことを物語っています。
ハードルを下げることで、迷った揚げ句に買わなかったものを、それなら買ってみようという気になる。もちろん、気に入らなかったら、返品には快く応じる。それは確実にシニアの財布の紐を緩めることになると思います。

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