松本すみ子の「@シニア」

バックナンバー

第26回
コンシューメーカーの時代 ~“作って楽しむ”から、“作って売って楽しむ”へ

売りたい消費者“コンシューメーカー”

コンシューメーカー?
聴きなれない言葉だと思ったことでしょう。これは私の造語です。“コンシューマー(消費者)”と“メーカー(製造者)”を組合せたもの。消費者であり、作り手でもある人たちのことです。
マーケティングなどではともすれば、作り手、売り手、買い手という構図でものを見がちです。でも、世の中はそんなに単純ではありません。ある商品の作り手はほかのものに関しては買い手だし、売り手であっても、自分が扱っているもの以外では買い手であることは当たり前。提供者はイコール消費者でもあるのです。
そして、買い手は時には作り手にもなります。実は、ものづくりに携わっている人は昔からたくさんいました。ものづくりはカルチャーセンターでの主要なプログラムです。趣味として様々な手工芸を習う人は後を絶ちません。
今では、その人たちがその成果を販売するようになっています。人は腕が上がると、趣味だけでは物足りなくなります。周りも放っておきません。そもそも今講師をしている人たちだって、もとは素人。上達するにつれて、腕を見込まれて講師になったのです。
作ったら、認めてもらいたい、売りたい!当然のことです。“作って楽しむ”から、“作って売って楽しむ”時代になっていきます。そして、それを後押しするサービスがたくさん生まれています。

気軽に販売できるショップ

私の友人もそうしたコンシューメーカーの一人です。彼女は手先が器用でセンスがあります。昔から手仕事が大好きだったようで、趣味でいろいろ楽しんできたのですが、今はセラミック粘土とビーズ作品づくりにはまっています。写真は彼女の作ったセラミック人形が掲載された雑誌。
ちなみに、こうした素人の手作り作品を掲載してくれる雑誌やメディアは意外とあります。NHK総合で土曜日の11:00から放送されている「東京カワイイ★TV」という番組をご存知でしょうか。主に若い世代の流行やファッションを紹介する番組ですが(なんと!司会の一人はおじさん世代の沢村一樹)、視聴者から寄せられた手作り作品を紹介するコーナーを設けています。
話は友人に戻しましょう。彼女の作品を見た私は、趣味だけにしておくのはもったいないと、あるショップを紹介しました。その名は「わたしの十八番(おはこ)」(※1)。いわゆるレンタルボックス形式のショップです。このショップでは、店の棚を幅 56cm × 奥行 35cm × 高さ 37cm~40cmのボックスに区切って貸し出しています。友人は使用料を払い、その一つを借りて、そこに商品を並べて販売するようになりました。
月額使用料は1890円から2100円。棚の位置によって値段が違います。作品が売れると、その10%を手数料としてお店に払います。商品の代金は、次の作品を棚に展示するためにショップに行ったときに清算してもらいます。クリスマスやお正月などはよく売れると言っていました。
実はこの店を運営している人も普通の家庭の奥さんです。昔からお店をやってみたいと思っていて、ご主人の退職を機に実行に移し、2010年8月にオープンさせました。着物に詳しいので、古着や着物で作った洋服に力を入れています。素人でもアイデアとセンスがあれば、店を持つことさえできる時代になったということです。

コメント