松本すみ子の「@シニア」

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第28回
遠近両用コンタクトレンズを知っていますか

団塊世代はコンタクトレンズの第一期生

遠近両用コンタクトを知らない人たちも、たいていの場合、興味津々で私に聴いてきます。「どこで売っているの?」「いくらくらいするの?」「ちゃんと見えるの?」「痛くない?」
彼らは、使っていたかどうかは別として、近視用コンタクトレンズのことは知っています。なぜなら、今60代半ばに達しようとしている団塊の世代あたりはコンタクトレンズ利用者の第一世代だったからです。
当時はすでに、大学の近くや最寄り駅の前にはコンタクトレンズ販売店が大きな看板を掲げて営業していました。高校時代は親が目によくないと買ってくれなかったので、大学に入学するやいなや、真っ先に購入したのは近視用コンタクトレンズでした。当時は、まだまだハードの時代。高価だったこともあり、レンズを落としてしまった友人のために、皆が地面を這いつくばって探すなんてことはよくあることでした。男子も同じだったと思います。
その世代が遠視・老眼という年代になって、もうずいぶん経ちます。近視レンズはとっくに卒業しているはず。皆、老眼メガネの利用者になってしまったのでしょうか。その前のコンタクトレンズになじみのない世代なら、年を取ってから違和感のあるコンタクトになれるのは難しいかもしれません。だから、関心は薄い。でも、団塊以後の世代は、コンタクトレンズに慣れ親しんだ世代だったはずです。
それなのになぜ、遠近両用コンタクトレンズはこんなに知られていないか、使われていないのか。不思議でなりません。
理由は二つあると思います。一つは、老眼になった時点でコンタクトレンズをあきらめ、メガネに転向してそのままになっている。まだ遠近両用コンタクトが普及していなかったので、知らなかったからです。
これはメーカーの宣伝・PR不足です。50代ともなれば老眼対策は不可欠となります。日本の人口約1億2800万人のうち、50歳以上の人口は約40%。これだけの規模の市場があれば、もっと知っている人がいてもいいのではないでしょうか。これは有望市場です。
二つ目はレンズのケアの問題。確かに、年を取るとコンタクトレンズの扱いはいっそう面倒になります。使った後に専用液で洗浄して、容器に保存しておく。これだけでも結構な負担です。簡単に掛けたり、外したりできるメガネで十分という気になるのかもしれません。
しかし、これには解決策があります。それは1日使い捨てレンズの登場です。私が愛用しているのも1日使い捨てタイプ。コンタクトレンズを愛用して40年以上の私も、ケアや紛失の心配がない1日使い捨てレンズに変えた時は、解放された感じがしました。
ただ、現状は2週間使い捨てレンズが主流。そういう意味では、まだまだ技術が開発されていないのも、メーカーが力を入れない理由、そして普及しない理由かもしれません。

遠近両用レンズの仕組みと種類

近くと遠くの視力をひとつのレンズで矯正してしまう遠近両用コンタクトレンズ。どんな仕組みなのでしょうか。作り方は、円状のレンズを遠近交互に張り付けたもの、モザイク状にしたものとメーカーによって様々です。その状況に脳が慣れることで、遠くでも近くでも意識することなく利用することができるようになるのだそうです。だから、慣れるのには1か月くらいかかるといわれます。それも人によるようです。私の場合は装着した日からほとんど違和感はありませんでした。40数年間、コンタクト愛好のたまもの?
近視レンズと同じように、遠近両用コンタクトレンズにもハードとソフトの2種類があります。ハードの耐用年数は通常2年ほど。ソフトの場合は2週間使い捨てタイプと1日使い捨てがあります。
ちなみに、ざっと調べてみたら、下のような遠近両用コンタクトレンズが販売されていました。ほかにもあるかもしれません。価格は1か月4000~6000円くらいのようです。

・チバビジョン:フォーカスデイリーズプログレッシブ(1日)
http://www.dailies.jp/progressives/
・チバビジョン:エア オプティクス アクア(2週間)
http://www.airoptix.jp/mf/
・ボシュロム:メダリストマルチフォーカル(2週間)
http://www.bausch.co.jp/medalist/premier/multifocal.html
・ボシュロム:メダリストプレミアマルチフォーカル(1週間)
http://www.bausch.co.jp/medalist/product/2week/multifocal.html
・ジョンソンエンドジョンソン:アキュビューバイフォーカル (2週間)
http://acuvue.jnj.co.jp/product/bifocal/

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