内山悟志の悠々快適エイジレスライフ

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第54回
家事代行「タスカジ」を活用してみた

ネットを活用したさまざまなマッチング・サービスやシェアリング・サービスが台頭している。今回は、家事を助ける「タスカジ」を利用してみた。

欧米では一般のドライバーが自家用車を使ってタクシーの代わりをやってくれるライドシェアというビジネスモデルのUberや、空き部屋を旅行者に貸すairBnBなど消費者間でのリソースの共有を仲介するシェアリングエコノミーが破壊的イノベーションの事例として注目を集めている。日本でも、駐車場や会議スペースのシェアリング・サービスなどさまざまなサービスが登場している。また、モノを共有するだけでなく、時間や役務を補い合うサービスも多数出てきている。
特に、少子高齢化や共働き家庭の増加に伴って、日常生活のさまざまな場面で生じる困り事を支援するマッチング・サービスが注目されている(図1)。すなわち、困っている人と助けてあげる人の出会いの場を提供するビジネスといえる。

図1.日常生活をサポートする主なマッチング・サービス
図1.日常生活をサポートする主なマッチング・サービス

何事も自分で試してみたい新しいもの好きの筆者の性格から、今回はこの中で家事を助けてくれる「タスカジ」を利用してみた。タスカジでは、掃除・洗濯、料理・料理の作り置き、整理収納、チャイルドケアなどを依頼することができる。現在、利用可能な地域は、東京を中心とした首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・横浜)の一部と大阪を中心とした関西(大阪府・兵庫県・京都府・和歌山県・奈良県・滋賀県・神戸)の一部となっている。
仕事の依頼はいたって簡単で、ユーザー登録をし、最寄り駅・依頼したい仕事・時間帯などの条件を入力して、合致するタスカジさん(仕事を受けてくれる人)を探す。1回の利用は一律3時間で、開始時間は9時、13時、18時の3パターンから選ぶ形になっている(開始時間は前後に最大で2時間の変更調整をすることが可能)。スポット依頼の最低料金は1時間当たり1,850円となっている(交通費は別途)。同じ人に定期的に仕事を依頼することもでき、その場合は最低料金が1,500円と割安となる。タスカジさんが依頼を受けてくれることになったら、サイト内のメッセージ機能を使って細かな連絡が可能となる。
年末の大掃除の時期ということもあり、日頃から気になってはいるものの、なかなか手をつけられずにいたキッチン回りの掃除を依頼することにした。

キッチン回りを掃除するタスカジさんキッチン回りを掃除するタスカジさん

今回、仕事を受けてくれたタスカジさんは、湘南地域をお住まいのYさん。家事代行やゲストハウスでのハウスキーピンやインテリアコーディネートなど約2年の経験を持った方だ。最初に、優先的にやってもらいたいこと、時間があったらやってもらいたいことなどを指示し、あとは何かわからないことがあったら言ってくださいとだけ伝えて、自分は別の部屋の片づけや洗面化粧台の掃除に取り掛かった。一人だと、ついつい先延ばしにしてしまうことも多いが、誰かが自分のために掃除してくれていると思うと、その間、自分も何かやらなくてはという気になるので、一石二鳥と言えるかもしれない。
Yさんは、非常にテキパキと仕事をこなし、ガスレンジとその周辺、調味料棚、シンク周辺を次々に綺麗にしていった。時間があったらとお願いしていた冷蔵庫の中も、冷凍室・冷蔵室のものを一旦すべて出して掃除してくれた。
さらに、指示していなかったにもかかわらず、鍋やコーヒーケトルをピカピカにしてくれたり、キッチンの壁や床まで丁寧に拭き掃除をしてくれたりと、プラスアルファの心遣い。さすがに手馴れていて、想像以上の効率で期待以上の満足を与えてくれた。

すっかり綺麗になったレンジ回りすっかり綺麗になったレンジ回り

3時間の仕事を終えて、ピカピカになったキッチンを残してタスカジさんは帰って行った(掃除をしてもらったアフターの写真は撮ったが、掃除する前のビフォーの写真は恥ずかしいので取らなかった)。手際よくやれば3時間でここまで綺麗になるのだということを知っただけでも、自分にとっては収穫といえるかもしれない。 料金はクレジットカード決済で、運営会社経由で支払われるので安心だ(交通費の実費は直接手渡し)。あとは、運営会社に仕事の完了の連絡とレビューを記入すれば終わりだ。満足度は星5つ。これで、また料理をするのが楽しみになった。
これから、ますます少子高齢化が進み、困り事を抱えるお年寄りが増えるだろうし、女性の社会進出が進み共働き家庭も増えるだろう。一方で、リタイアしたけれど、まだまだ元気だし、得意技を活かして助ける側をやってみたいというシニアも増えるのではないだろうか。フルタイムで拘束されずに、自分の都合が良い時間帯を設定することができるものこうしたサービスの利点だ。
シェアリングエコノミーやマッチング・サービスは、新しい相互扶助の形として定着するのではないだろうか。

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