旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第16回
おせち料理にも役立つ簡単保存食「大根」の紅白なます

日本の師走は、華やかなクリスマスが終わると、あっという間にお正月の和のモードに切り替わりますね。大掃除と共に、お節料理の準備は進んでいますでしょうか? 近年のお節料理は購入する人が増えたので、手作りするご家庭は減少傾向ですが、凝った煮物類ではなく、野菜をカットして漬けるだけの保存食なら簡単にできます! 旬の大根を使って、ぜひ手作りの“紅白なます”にトライしてみましょう。

■「大根」の歴史

アブラナ科の野菜で、日本での大根の歴史は、弥生時代から続いており、当時、中国大陸から伝わったと考えられています。『古事記』にも記述があり、室町時代には全国で栽培されていたようです。現在も大根の消費量は世界一と言われるほど親しみのある根野菜です。大根は昔から解毒作用があると信じられており、のどの傷みや解熱剤代わりとして薬用にも用いられていました。また痰切れに良いため、大根を使ったのど飴の生産も古くから行われていました。
海外では紀元前2,500年ごろ、エジプトのピラミッド建設で労働者が食べていた、という記録が残っています。

■「大根」の特徴

育ちやすいことから、全国で様々な品種が栽培されています。日本だけでも100種類ぐらいの品種があると考えられています。一般のスーパーでよく見かける品種は“青首大根”と呼ばれるもので、根の部分の上部が淡いグリーンになっています。大根の本来の旬は秋から冬にかけてですが、改良が進み、夏でも収穫されています。旬の時期は、一般のスーパーでもいろんな色や形の大根が並びます。蕪のような形をした“紅芯大根”。外側はグリーンや白っぽいものですが、カットすると鮮やかな美しい紅色の根輪が見られます。また外皮も中の根輪も紅色から白のグラデーションが美しい“紅しぐれ大根”。一般の大根の半分程度の長さですが、下部がポッコリとした丸みを帯びた“辛味大根”は鼻にツーンとくるほど辛く、辛味が大好きな人たちの間ではおろし蕎麦のお供として人気の品種です。漬物、大根おろし、お刺身のツマ、ブリ大根、おでんなどの代表料理や、日本各地にもその土地の伝統料理が多く残されています。


■「大根」の栄養など

大根独特の辛味成分は“ジアスターゼ”という成分で、大根おろしや刺身のツマなど生の状態の時に辛味をキツく感じます。塩分や、酢、加熱調理などで、食味がまろやかになり、特に加熱後は甘く感じます。このジアスターゼに解毒作用があるので、風邪やインフルエンザの予防にもなります。他にガン予防効果で一躍有名になった“スルフォラファン”という成分も入っています。こちらも解毒作用があるので、ジアスターゼとダブルで風邪予防になるでしょう。大根の葉は根と栄養成分が違い、緑黄色野菜になり、カロテンやビタミンCが豊富に含まれます。よく洗って漬物にしたり、炒め物に使うと美味しくいただけます。



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