旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第17回
自家製簡単スナック「ごぼう」のバター醤油焼き

冬の根野菜の一つ「ごぼう」。金平ごぼうや、煮魚と一緒に煮こんだり、たき物の具材の一つになったりと冬の料理には欠かせない根野菜で、独特の香や風味も料理のグレードをアップさせてくれます。あまり単品でいただく機会の少ない野菜ですが、お酒のおつまみや、おやつにピッタリなスナック菓子の作り方をご紹介します。

■「ごぼう」の歴史

原産国は中国またはヨーロッパ大陸とされており、諸外国では薬の材料として使用され、野菜として食用されているのは、日本と韓国、台湾のみ。日本には、縄文~平安時代の頃に中国から伝わったと考えられていますが、当時は漢方薬として食されていたようです。人気野菜となったのは、江戸時代に入るころです。
茶道で頂く「花びら餅」という生菓子の中には、桜の枝を表現するために、ごぼうの甘煮が使われるようになりました。また、江戸時代に人気となった人形浄瑠璃『金平浄瑠璃』の主人公、坂田金平の名は、ごぼうの代表料理である「金平ごぼう」の名前の由来にもなっています。
江戸時代から伝わるごぼう料理は、煮物や酢ごぼう、叩きごぼう、茶菓子、ごぼうの砂糖菓子などで、日本各地でも伝統料理が残されています。江戸時代を境に、全国で栽培が始まり、日本料理には欠かせない食材となりました。

■「ごぼう」の特徴

中国から、ごぼうが伝わった際、利尿作用のある漢方薬として、身分の高い人たちの間に広まりました。現代でも腎臓系の予防食として、ごぼうがすすめられています。
ごぼうは皮をむくとすぐに色が変わるため、調理の際、酢水に浸してアクをとるという方法が取られています。これは江戸時代の人々の知恵がそのまま現代に受け継がれているアク抜きの方法です。当時、ごぼうはアクが強く、皮をむくとすぐに変色するため、毒薬騒動が起こりました。しかし死者は出ず、酢水にさらし、加熱調理してから食べると何の問題もないということが伝わり、それ以来、ごぼうは火を通した料理で食べる風習が広がりました。

■「ごぼう」の栄養など

ごぼうも他の根野菜と同じように加熱すると炭水化物になりますが、芋類とは違い、「イヌリン」というブドウ糖を含まない炭水化物のため、血糖値の乱高下がなく、糖尿病の予防食にも使われています。「ごぼうを食べるとお通じが良くなる」という言い伝えもありますが、オリゴ糖が含まれていることと、食物繊維が野菜の中でトップクラスになるほど含有されているためです。解毒作用もあり、体内に潜むウイルスなどの除去にも期待できるでしょう。
ごぼうは外用としても殺菌効果が期待でき、ごぼうをすりおろした搾り汁や、ごぼう茶などをカーゼに浸して傷口に塗ると収斂作用が望めるようです。調理でむいた、ごぼうの皮はキレイに土を洗って熱湯に浸し、ごぼう茶として飲んでも美味しいです。ごぼうの皮にはジンセノイドという若返り成分が含まれているので、アンチエイジングにいいでしょう。



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