旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第19回
花粉症予防に!「にんじん」で簡単キャロットラペ

年中手に入りやすい「にんじん」は手軽にβ-カロテンが摂取できる栄養満点の根野菜。本当の旬は秋から冬にかけてです。今回は、にんじんの皮をピーラーでむく要領で最後までにんじんをスライスし、さっと熱湯に通すだけでいただける「キャロットラペ」のレシピをご紹介します。



■「にんじん」の歴史

「にんじん」の原産国はアフガニスタン北部と伝わっています(諸説あり)。そこから東西へ伝わり、西に伝わった「にんじん」は、エジプトからヨーロッパ全域に伝播され、現在の「西洋にんじん」と呼ばれる、ふっくらとした丸みを帯びたにんじんになりました。一方の東に伝わった「にんじん」は、シルクロードを通り中国大陸に伝播されました。お正月にいただく「京にんじん」の原型となり、細長くて赤いのが特徴です。もとは同じ種でしたが、育つ土地で形や風合いが違うのです。日本には、中国から2000年ほど前に伝わり、当初は「京にんじん」が主流で、主に薬として使用されていました。江戸時代まではこのにんじんが一般的でしたが、明治時代の開国で、西洋にんじんが伝わり、その後はこちらが主流になりました。一般のスーパーなど市場に並んでいるのも「西洋にんじん」です。


■「にんじん」の特徴

一般に出回る西洋にんじんは「五寸にんじん」とも呼ばれ、長さの平均は15cm前後です。東洋種の「京にんじん」は「金時にんじん」とも呼ばれ、西洋種よりも食物繊維が多く、長さは30cmほどあります。にんじんは、育つ土地で独自の品種も生み出しています。西洋種と東洋種をかけあわせてできたと伝わる沖縄の「島にんじん」は黄色く30~40cmほどの長さがあり、他の品種よりも比較的甘いのが特徴です。他にヨーロッパからの種で、全国的に栽培が広がりつつある、「紫にんじん」「白にんじん」「黒にんじん」などがあります。紫や黒のニンジンには、オレンジや黄色の品種と違い、ポリフェノールの一種アントシアニンが多く含まれます。白にんじんは、文字通り白いため、β-カロテンやアントシアニンは微量しか含まれず、他の品種よりもやや苦めなのが特徴です。ほとんど市場には出回りませんが、農家直送の自然食品店や、高級レストランで扱われています。


■「にんじん」の栄養など

一般のオレンジ色のにんじんはβ-カロテンの含有量が高く、野菜の中ではモロヘイヤに次ぎ2番目に多く含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、目や皮膚の健康を保つことで知られています。またビタミンEやCも含まれ、ビタミンAと共に、皮膚や体内の各器官の粘膜を丈夫にする働きも期待できます。花粉症などで鼻や目、のどの粘膜が荒れがちな時期には、にんじんをしっかりと摂取しておくと予防や改善にいいでしょう。東洋種の「京にんじん」は赤い色素が強く、トマトで知られるリコピンも含有されています。リコピンはビタミンA・C・Eよりも、抗酸化作用が強いとも言われている成分なので、風邪やインフルエンザ、花粉や黄砂などのアレルギー対策のためにも摂取しておきましょう。



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