旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第26回
「茗荷」の豆乳素麺

初夏から初秋にかけて出回る夏の風物詩でもある香味野菜「茗荷(みょうが)」。赤紫色と白の配色も美しく、お料理に優美な彩と上品な味わいをプラスしてくれます。日本では、卑弥呼の時代から身分の高い人々が食していたという歴史ある野菜。ネギやシソと共に夏の麺類には欠かせない存在ですね。


■「茗荷」の歴史

茗荷の原産地は『魏志倭人伝』にも記載があることからアジア東部と考えられています。日本には、この書物が執筆されたと推定される、卑弥呼の時代には中国から伝わっており、高貴な人々の食卓に並んでいたと考えられています。日本では旬のころはリーズナブルな価格で購入できますが、世界的に見ても、茗荷が自生できるのは、台湾や日本ぐらいで、食用として用いているのは日本だけです。日本でも栽培できる地域が限られており、高知県が全国シェアの80%を占めています。東京に「茗荷谷」という地名がありますが、かつて茗荷の名産地でした。しかし今は栽培されていません。

■「茗荷」の特徴

「花みょうが」という別名もあり、土の中の茎から出てきた蕾の部分を食用としています。また茎の部分を食す品種もあり「みょうがたけ」と呼ばれています。一般の茗荷を買う時のポイントですが、古くなってきたものは、先端に花が咲き始めているので、避けるようにしましょう。鮮やかな赤紫色でツヤがあり、ふっくらと中央に丸みを帯びているものが良品です。乾燥すると香りがなくなってくるので、必ずラップやジップロックなど密封して保存するようにしましょう。

■「茗荷」の栄養など

茗荷の独特の香りと苦みはα-ピネンという精油成分です。食欲増進や血行を良くする働きがあり、殺菌作用もあるので、一緒に食べる肉や魚の臭みけしや食中毒予防にもなります。また身体を温める効果もあるので、夏の冷房による冷え対策などにも最適です。また赤紫色はアントシアニンによるもので、目の健康維持や血圧の上昇を抑える効果も期待できます。茗荷は他の香味野菜と違い、薬味として一人で1~2本いただいても、苦味が柔らかいので、多めに摂ると健康効果も増すでしょう。



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