旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第29回
「大葉」を煮込んだサバカレー

和食に欠かせない名脇役の「大葉」。「紫蘇(しそ)」または「青紫蘇」と言う名でも親しまれていますが、お造りの添え物、ご飯やパスタのトッピング、麺類の薬味、そして赤じそは梅干しのお供としても親しまれていますね。大葉の独特の上品な風味は和食だけではなく、カレーの香辛料ともよくあいます。いつもと違った味わい方をご紹介いたします。

■「大葉」の歴史

原産地は、中国、ビルマ、ヒマラヤなど。日本では、縄文時代の遺跡から種が発見されていることから、当時の中国から既に伝来があったと考えられています。中国では、古くから大葉の煎じ薬が食中毒患者の命を救った例があり、解毒作用のある漢方薬として親しまれています。また咳止めの薬として、そして大葉を搾った汁は傷薬や湿布としても用いられていました。このような解毒作用を利用して、中国や日本では魚の臭み消しや、雑菌予防として海鮮料理に使われるようになりました。「赤じそ」は梅干しを漬け込む時に使用され、食品の色味漬けの他、着物や布の染色にも使われています。

■「大葉」の特徴

どんな環境でも育ちやすく、家庭菜園やベランダ菜園で育てる人も増えてきました。大葉の旬である、夏の時期には、水やりを怠らなければ、ぐんぐんと育ち、葉っぱが出てきます。花が咲くほど育つと、葉がかたくなるので、家庭菜園の際は、まだ葉がやわらかく、薫り高い間に収穫しておきましょう。
大葉は少量でも薬効効果が期待できると考えられており、細かく刻むと、独特の香り成分「ペリルアルデヒド」が引き出されます。繊維質が断ち切られることで、香り成分の細胞も遮断され、効用が出てくるようです。大葉は、調理の際、生魚の臭み消しや、イカや豚肉を用いた天ぷらに大葉を巻いて揚げるなど、殺菌と消毒をかねて使用されていました。そんな中から、数々の独特の風味の料理も生まれています。

■「大葉」の栄養など

大葉は薬味やトッピングとして、大量に食べることは少ないですが、少量ながら、その中に秘められた栄養素は、β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、鉄分、マグネシウム、亜鉛など夏バテや冷房による冷え対策に嬉しい栄養素がたくさん含まれています。大葉に含まれる必須脂肪酸には「α-リノレン酸」も入っており、「シソ油」として商品化されています。シソ油にはルテオリンと呼ばれる抗菌作用や防腐作用のある成分が含まれ、食材の殺菌と共に、体内の解毒や夏風邪予防などにも最適です。



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