旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

バックナンバー

第36回
フライパンで簡単!「水菜」の柚子蒸し

師走に入ると忘年会シーズンで毎日ご馳走三昧の方も多いことでしょう。ご自宅では、あっさりとした旬のお惣菜で体や胃腸を癒したいものですね。水菜は冬を代表する葉野菜で、煮物の名脇役としてお馴染みです。今回は水菜の歴史と共に、フライパンで簡単にできるお惣菜をご紹介します。

■水菜の歴史

水菜の原産国は日本の京都と伝わっており、京都の伝統野菜でもあります。古来より、水菜の収穫が始まると、冬の到来を意味し、人々は冬支度をしたそうです。また冬は青物が不足するため、冬の貴重な食材としても親しまれていました。1645年の『毛吹草(けふきぐさ)』という書物に「山城(京都)の名産品」として水菜の記述が残っています。昭和時代までは旬の冬の時期にしか市場に並ばず、主に関西を中心として食され、関東圏ではさほど食べられていませんでした。冬野菜として鍋物やお浸しなどの加熱調理に使われ、特にクジラ肉といただく “はりはり鍋”が代表的でした。しかし平成に入り、大手ファミリーレストランチェーンが、サラダバーの野菜として採用したことから、生食として全国シェアが伸び、また育ちやすいことから通年を通して全国で栽培されるようになりました。今ではサラダ野菜としても人気を誇っています。

■水菜の特徴

アブラナ科アブラナ属の野菜で、京都原産のため「京菜」と呼ばれることもあります。一般のスーパーに並んでいる水菜は葉がギザギザとしたものが多いですが、葉に丸みのある「壬生菜」も水菜の仲間です。傷みやすいので、購入したらすぐにいただくようにしましょう。古くなってくると、根元が変色し、葉がズルズルとして、全体に広がっていきます。購入ポイントとしては、葉の緑色が鮮やかでツヤがあり、茎が根本から葉先までしなやかで全体に瑞々しいものを選んでください。根元の変色が始まっているものは、避けるようにしましょう。近年、屋内での水耕栽培の水菜が増えているので、農薬や害虫の懸念が少なくなっているようです。

■水菜の栄養など

水菜はβ-カロテン量が100g中1300mcgで、緑黄色野菜に分類されます。体内でビタミンAとして活躍し、免疫力UPとなります。ビタミンC量は他の青物の葉野菜と比べると少なめですが、カルシウムが摂れる野菜として注目されています。お子さまの成長や、成人の骨粗しょう症対策にもカルシウム補給は大切です。また鉄分や葉酸も含むので、冷え予防や貧血、妊婦さんの栄養補給としても嬉しい野菜です。



コメント