名医に聞く

バックナンバー

第16回
〈痛風〉 一生の病気。根気よく治療することが大事

関節に激痛が走るだけの病気ではない 内臓などにも症状がおよぶ

ある日突然関節が腫れあがり、大の男も痛くて歩けないほどの激痛に襲われる病気、痛風。特に親指の付け根の関節に起きる率が高いといわれており、一般的に、最初はいくつもの関節が同時に痛くなることはほとんどなく単関節炎であるのが特徴だ。

もう1つの特徴は、この痛み(痛風発作)が、たいていの場合1週間から10日ぐらい経つとしだいに治まり、しばらくするとまったく症状がなくなること(自然寛解)。しかし油断は禁物で、半年から1年経つとまた同じような発作が起こり、足首や膝の関節まで腫れはじめ、発作の間隔も次第に短くなってくる。しかもこのころになると関節だけでなく、腎臓などの内臓も侵されてしまう。

病気の原因は尿酸だ。
尿酸は食物からだけではなく、人間のからだのなかでも作られている。この尿酸の血液中の濃度が、何らかの原因で上昇して飽和濃度を超えると、溶けきれずにからだのなかに蓄積されるようになり、ナトリウムと塩(えん)を作って結晶になる。さらに尿酸の濃度が高い状態が続くと、結晶が関節の内面に沈着し、痛風関節炎を起こす。

「痛風の激痛は、尿酸塩に対してからだの防御機構である白血球が反応し、攻撃する時に発生します。また結晶が皮下にたまってくるとこぶのようなものができ痛風結節となります。さらに尿酸は腎臓から主に排出される物質で、尿中に沢山尿酸があると結晶化しやすいため、腎障害や尿路結石といった合併症も起きてきます」

と東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の細谷龍男医師は言う。

コメント