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第22回
「スカートがはけない!」悩む人には女性が多いが、男性も発症

思った以上に怖い病気。まれにエコノミークラス症候群になることも!

スカートの下からのぞく脚に、極端に太いミミズ腫れのように血管が浮き出ている症状、見たことがある人は多いだろう。
あれが下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)。4タイプある静脈瘤の症状のなかでも最もポピュラーな、伏在静脈瘤と呼ばれるものだ。

「治療にみえる患者さんのほとんどは伏在静脈です。足の静脈の本幹や枝分かれする個所が瘤(こぶ)のように太くなる。血管が浮き出て気持ち悪い、スカートがはけないなど、本当に悩んで来院される人が多いですね」と、下肢静脈瘤治療の専門外来を持つ北青山Dクリニック院長・阿保義久医師は解説する。

下肢静脈瘤にはこの伏在静脈流の他に、側枝静脈瘤(伏在静脈より末端部分にできる)、網目状静脈瘤(細い皮下静脈が網目状に広がる、直径が径2~3mmほどの静脈瘤)、クモの巣状静脈瘤(直径1mm以内の細かい静脈瘤。青色や赤色の細かい静脈瘤が、皮膚の内側にクモの巣のような状態で広がって見える)の3タイプがある。

気にする割合が多いことから「女性の病気」と思われがちだが、男性でも発症する。

「40歳以上の女性の10%に、明らかな静脈瘤が認められるといわれています。加齢とともに、発生の頻度が増加するのは確かですね。程度の軽いものまで含めると、15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に、静脈瘤が認められたという報告もあります。
当院では昨今、男性の患者さんが増えています。病気に対する認知度が高まったことに加え、レーザー治療で簡単に治せるようになったことが、従来は治療しようと思わなかった男性患者の“掘り起し”につながっているのではないかと推察しています」(同)

じつは、下肢静脈瘤の問題は、「見た目の悪さ」だけではない。

◎だるい、重い、疲れやすい、ほてる

静脈瘤は、うっ血による静脈圧の上昇によって発生する。このうっ血(血液がよどんでたまること)により、足がだるい・重い・疲れる・ほてる、といった症状があらわれる。

◎痛い

うっ血が進み、だるさ・重さがさらに悪化すると痛みとして感じられることがある。

◎つる(こむら返り)

血液循環が悪くなるために、歩行時もしくは就寝中に、こむら返り(足がつる)を起こすことがある。

◎むくむ(浮腫)

足の静脈圧が高くなるため、血管内から水分が外へ染み出ることにより、足がむくむ。

◎かゆみ

足がかゆくなることがある。

◎皮膚炎、湿疹

皮膚や皮下組織の栄養障害が進むために、皮下組織が繊維性変化を起こして硬くなり、皮膚炎や湿疹(しっしん)ができることがある。足首の周囲や静脈瘤の周囲に起こりやすい。

◎色素沈着・潰瘍(かいよう)

静脈瘤になると、皮膚が弱くなり、静脈が拡張していることから、皮膚、皮下に出血が起こりやすくなる。これによって、皮膚に色素沈着が起こったり、少ない刺激でも、潰瘍ができたりする。できてしまった潰瘍は、皮膚の血液循環が悪くなっているために治りにくく、放置すると徐々に増大していく。

といった症状も起きてくる。

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