名医に聞く

バックナンバー

第24回
尿もれは治療可能。泌尿器科できちんと治したい

成人女性の3人に1人は尿もれ経験がある

尿失禁とは、平たくいえば「トイレ以外の場所で、しようと思っていないのに尿が出てしまい、困ってしまうこと」。成人女性の3~4人に1人は経験しているといわれている。

もれ方や原因で呼び名が異なり、治療法も変わってくる。
最も多いのは腹圧性尿失禁で、尿失禁全体の約70%を占める。
せき、くしゃみ、笑う、重い物を持ち上げるなど、おなかに力が入ると起こるのが特徴。
妊娠や出産、肥満、便秘や加齢で尿道や膀胱(ぼうこう)などの臓器を支える筋肉や靱帯(じんたい=骨盤底)が、緩んだり傷ついたりすることが原因だ。

次いで多いのは切迫性尿失禁で、15%を占める。突然激しい尿意に襲われ、トイレまで我慢できずにもらしてしまう。こちらは、過活動膀胱が主な原因で、脳梗塞(こうそく)や脳出血の後遺症のほか、男性では前立腺(せん)肥大症、女性では骨盤臓器脱による下部尿路閉塞(へいそく)や骨盤底の障害、加齢が原因とされるが、はっきりしない場合も多い。

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両者を合併する混合性尿失禁も少なくない。そのほかには溢流(いつりゅう)性尿失禁、機能性尿失禁などがある。

「患者さんにアンケート調査をすると、50%が自分は腹圧性だと思うと回答し、25%は切迫性、残りの25%が私は両方併せ持っているという結果になります。
でも実際は、混合性と思っている人の半分ぐらいは重症の腹圧性尿失禁です」と教えてくれたのは東京女子医大東医療センターの巴(ともえ)ひかる医師。
尿失禁手術を数多く手掛けている、日本の尿失禁治療の第一人者だ。

コメント