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第11回
〈てんかん〉 不治の病ではない 70~80%は発作のコントロールも可能に

疾患への正しい理解が大切 日本の患者数は推定100万人

突然意識を失ったり、けいれんやこわばり、しびれなどによって転倒したり、動作が中断するといった発作を繰り返す慢性の脳の病気、てんかん。
名前は耳にしたことがあっても、正しく理解している方は少ないのではないだろうか。

100人に1人の割合で発症し、日本では推定100万人の患者がいる。
いろいろな発作があるものの、命を失うことなどはめったにない。
薬によって8割の人は発作が止まり、普通の人とかわらない生活をしている。
一定の条件はあるものの自動車免許の取得も可能。

…といったことぐらいはぜひ覚えておくべき。社会的偏見に苦しんでいる患者は少なくないからだ。

発作は「脳の電気的嵐」 症候性と特発性に大別できる

てんかん発作はよく「脳の電気的嵐」に例えられる。

「ふつう脳には微弱な電流が流れていて、脳の神経活動は微弱な電流がつくっているわけですが、あるとき突然てんかん性の異常放電をきたすのです。普段の電流よりも非常に大きな電流が流れ(過剰放電)、乱れが生じる。それが神経細胞を巻き込むとてんかん発作が起きます」(むさしの国分寺クリニック・大沼悌一院長)

嵐が起きる原因は人によってさまざまだが、大きくは症候性てんかんと、特発性てんかんに分けられる。

「症候性てんかんは、脳になんらかの障害や傷があることで起こります。障害や傷の原因は、生まれたときの仮死状態や低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷などが考えられます。ちなみに症候性てんかんの発作は、たいがい脳の一部分から始まる部分発作です。一番多いのは側頭葉から起こる発作ですね。
一方特発性てんかんは、種々の検査をしても異常が見つけられない原因不明のてんかんです。特発性てんかんの発作は、一部分ではなく脳全体が突然興奮します。意識が最初からなくなるという特徴があります」(同)

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