名医に聞く

バックナンバー

第27回
水虫。誰もがかかる、うっとうしい病気

患者数2100万人!国民の5人に1人は水虫持ち

とってもポピュラーな病気「水虫」。
どのくらいポピュラーかというと、日本では「水虫」という人がおよそ2,100 万人(約5 人に1人)。
さらに、同居している家族にも水虫の人がいることがわかっている。

…と聞いて、「え、水虫って遺伝するの?」と誤解してはいけない。
遺伝するのではなく、家族間で伝染し合っているのである。ゆえに、
「水虫になっている人は、家庭内の誰かからうつされているんです。だから、自分だけ治しても、家族全員を治さない限り、水虫を治すことはできません」。

そう教えてくれたのは、水虫治療の第一人者、帝京大学皮膚科教授の渡辺晋一医師。
よく効く水虫治療薬があるにもかかわらず、水虫に悩む人が減らない(むしろ増えている)のには、解決しがたいいくつかの理由がある。

中にはかゆくない水虫も!疑わしきは皮膚科へ

水虫が治りにくい理由を説明する前に、若干の基礎知識を。

水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が皮膚の角質層に感染して起こる。
水虫の症状は大きく分けて以下の4パターンあり(4は爪の水虫と呼ばれる)、かゆみが出ない水虫も多いのだ。

1.指の間が白くふやけて皮がむけた(かゆい)
2.土踏まずや足の縁に赤みを帯びた小さな水疱ができた(かゆい)
3.足の裏が厚く固くなり粉をふいたようになった(かゆくない)
4.爪の先のほうから黄白色に変色して厚みが増してきた(かゆくない)

テレビCMなどで、かゆがっている映像が流れているせいか「水虫はかゆい!」というイメージがあるが、実際にはかゆみが出るのは1や2の場合でも患者の1割程度で、しかも夏にならないと症状はでない。

そして水虫の治療で重要なのは、正しい診断だ。
「そんなのあたりまえ!」と思うかもしれないが、そうでもないらしい。渡辺医師は言う。

「自称水虫患者の13〜30%は水虫ではないので、なかなか水虫が治らないといって来院する患者さんのほとんどは、まったく別の病気です。
足や手にできたかゆい“ボツボツ”や“皮むけ”を水虫だと自己診断して水虫の市販薬を塗り、良くならない方が大勢います。
なかには皮膚科以外の、たとえば内科にかかったついでに水虫薬を出してもらい、塗ったけど治らないという方もいる。
確定診断には、顕微鏡で白癬菌を確認すべきところ、省いて誤診しているケースもあります」

水虫のぬり薬にはクリーム剤、液剤(ローションを含む)、軟膏(なんこう)剤などの剤型があり、症状に合った剤型を用いないとかえって症状を悪化させることがある。特に液剤をぐじゅぐじゅしている所につけるとかぶれることが多い。
せっかくいい薬があっても、これでは治すことができない。
「水虫薬で治るのは水虫だけ。それ以外に塗ったらかぶれる場合もあるのです」

コメント