名医に聞く

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第35回
更年期障害治療は医師選びと教育が大事

30分以上の問診は不可欠。漢方薬も有効

治療に当たっては医師選びが何よりも重要になる。
原因不明の症状で悩んだら、まずは「女性外来」を受診するのがおススメだが、一口に女性外来といっても、専門とする診療科はさまざま。

「ご自分が一番改善したいと思う症状が産婦人科であれば産婦人科へ、胸が痛いなら循環器科へ、糖尿病や高血圧が心配なら内分泌科へ行くとよいでしょう。各病院の担当医情報を調べて受診してください」
さらに更年期障害の診療には問診が欠かせないことから、ホームページに「診察の際は、お話を30分以上伺います」などと書かれている病院も期待できるという。

検査では、血中ホルモンのエストラジオール、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)などを調べ、卵巣機能の低下や閉経後であることなどを確認する。
閉経していない場合は、基礎体温表も参考にする。
そのほか症状に応じて、他の疾患との鑑別をするための各種検査も行う。
たとえば頭痛がある場合には、脳腫瘍等を見逃さないためにMRIやCT検査をする。

「教育」も重要だ。
「患者さんが多彩な症状のすべてはエストロゲンの枯渇によるものであると理解し、納得することをめざします。多彩な症状に振り回されて複数の診療科を受診し『異常なし』と言われ、原因不明の症状に大きな不安を抱いている場合が多いからです。
教育によって、そうした不安を取り除いた上で、ホルモン補充療法や漢方薬による薬物療法を行うことが重要です。また、手足のこわばりや冷えといった症状には、からだを温める治療も有効です」

ちなみに、天野医師が好んで行うのは漢方薬による薬物療法だ。
「漢方薬は患者さんに優しいですね。
気・血・水のバランスの崩れによって起こった身体の不調を、まず整えるというところから始まります。
心身一如という概念があり、心の不調は体に、体の不調は心に影響すると考えており、女性外来の患者さんを診ていますと、まさにその通りだと思います。
不定愁訴または自律神経失調症と言われて片付けられている多様な症状に極めて有効です。女性の生理にまつわる不調やお産の諸症状にもよく効きます」

名医のプロフィール

更年期障害の名医

天野惠子 先生

静風荘病院特別顧問、千葉大学大学院薬学研究院客員教授。
1967年 東京大学卒業。東京大学保健センター講師、東京水産大学保健管理センター教授・所長、東京大学医学部非常勤講師、千葉県衛生研究所所長 兼 千葉県立東金病院副院長等を経て現在に至る。
日本性差医学・医療学会(理事)、性差医療情報ネットワーク(代表世話人)
おもな著書は、『行き場に悩むあなたの女性外来―「部分」ではなく「全体」を治す』(亜紀書房 2006)、『心臓病の治療と食事療法―組み合わせ自由な新レシピ付き』(日東書院本社 2005)、『性差医療―性差研究が医療を変える』(真興交易(株)医書出版部 2005)。

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