人生を謳歌する糖尿病生活のススメ

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第6回
海外出張中の突然死を、一万円の出費でまぬがれたFさんの場合

牧田医師にQ!糖尿病と動脈硬化の関係

Q:糖尿病といえば神経障害、網膜症、腎症が3大合併症として知られていますが、動脈硬化も心配なんですか?

牧田医師:もちろんですよ。糖尿病というのは、血管でさまざまな問題が発生する病気ですからね。
3大合併症が起こるのも、非常に細かい血管の密集地帯です。
細かい血管が切れたり詰まったりすることで、合併症が引き起こされるわけです。
そして血管といえば、忘れてはならないのが動脈です。
糖尿病を長く患っていると、心臓の周りを取り囲むように走っている冠動脈をはじめとして、頸(けい)動脈や手足の動脈などに動脈硬化が起きてくるんです。

Q:血糖コントロールをきちんとしていても、ですか?

牧田医師:はい、残念ながら。
たとえば聖路加国際病院が、冠動脈の患者さん200人を対象に行った調査では、糖尿病になって10年経つと、多くの患者さんの冠動脈のなかにプラーク(おかゆ状のかたまり)ができ、15年目には高度の狭窄へと進行していたそうです。

Q:それはショックですね。
患者さんの多くは、「血糖をコントロールしていれば大丈夫」と思っているのでは?

牧田医師:そうですね。血糖コントロールだけではだめなんです。
でも、だからこそ早め早めに検査を受けて、重篤な状態になる前に治療することが大切なんです。
危険を認識し、適切に手を打ちさえすれば、いたずらに怖がる必要はありません。

Q:ちなみに、聖路加国際病院の320列CTというのはどういう機械なんですか?

牧田医師:一言で言うと、動き続けて静止できない心臓の血管内を撮影できる、画期的なCTです。
CTという機械は、レントゲンを360度回転させて撮影する機械です。
一般的に導入されているのは64列CTといって、最大で4㎝までしか撮れません。
心臓の大きさは14cm前後なので、1回転ではカバーできないため、何回か回転して得たデータをつなぎ合わせることになります。すると、つなぎ部分の画像は不連続になり、狭窄などをはっきりと描出することが難しくなります。
一方320列CTなら、心臓を1回転で撮影することができるので、基本的に画像の連続性が保証され、信頼できる画像を得ることができます。
しかも、撮影時間は最大で0.35秒。昨今話題になっている医療被ばく量も、かなり低く抑えられるのが特徴です」

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