人生を謳歌する糖尿病生活のススメ

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第8回
糖尿病父さんの、食べるのが大好きなポッチャリ息子・A君の場合

牧田医師にQ!肥満と子どもの糖尿病

Q:子どもの糖尿病といえば、生活習慣とは無関係に発病する1型で、食べ過ぎや肥満はあまり関係ないというイメージがありますが、そんなことはないんですね?

牧田医師:はい、お子さんの2型糖尿病が激増しています。
1974年から1994年の間に、小児2型糖尿はなんと10倍に増加し、中学生でも約2倍に増えているんですよ。

Q:2型は大人の糖尿病だと思っていましたが…

牧田医師:もう、大人だけの病気とはいえません。
しかも、子どもの2型糖尿病は、年齢とともに増加します。
8歳未満の糖尿病のほとんどは1型ですが、10歳を超えると2型が増え出し、14歳のころに1型と2型が逆転しています。

Q:子どもが2型糖尿病になる原因は肥満なんですか?

牧田医師:ほとんどは肥満が原因と考えていいでしょう。
子どもは大人に比べて血糖値を検査する機会も少ないから、自覚症状も認識もないまま過ごし、気づくと洋々たる前途が台無しになってしまうことも。
糖尿病は発症して10年も経てば、合併症が出てきます。
子どものころに糖尿病にかかれば、30歳を前にして失明や血液透析という事態に陥る可能性があるのです。

Q:一番の予防方法はダイエットですか?

牧田医師:そうですね。肥満にさせないことは重要です。
親御さんはまず「子どもの成長のためには、たくさん食べさせた方がいい」「子どもはぽっちゃりしているほうが健康的だ」といった考え方をやめていただきたい。
私は子どもさんの2型糖尿病を予防するために、次の3点を推奨しています。

〇まず子どもを肥満にさせないという強い覚悟が必要。現代社会はおいしい食べ物があふれており、猫や犬でも糖尿病になってインスリン注射をする時代。親が油断すると子どもはすぐ太ってしまうので、要注意。
〇清涼飲料水はやめる。
〇砂糖の多い菓子類は極力減らす。

Q:清涼飲料水といえば最近、スポーツドリンクによる糖分の取り過ぎが問題になっていますね。

牧田医師:その通りです。
コーラやスポーツドリンクなどの清涼飲料水を大量に飲むことで起きる、肥満した子ども(中高校生)がなりやすい新しい病気が最近報告されています。
清涼飲料水を長期間飲み続けた後、意識消失(昏睡=こんすい)を伴う著しい血糖値の上昇(通常800以上)と、1型糖尿病に典型的なケトーシス(血液がケトン体という有害物質発生のため酸性になってしまう状態)をきたす病気で、「清涼飲料水ケトーシス」や「ペットボトル症候群」と呼ばれています。
これは2型糖尿病の一種で、多量の糖を含むコーラやジュース、スポーツドリンクを毎日0.5~1リットル以上、水代わりに多飲した数か月後に起こることが多いです。
カラダにいいというイメージに乗せられて、スポーツドリンクをがぶ飲みするのは危険です。
熱中症対策で水分を補給する場合でも、大量に汗をかいた場合以外、スポーツドリンクを飲む必要はありません。

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