文化とアートのある暮らし

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第10回
「力を抜くこと、無垢になること」

芸術は全ての物事の出発点です。たとえば子どもの頃に描いた絵のような純粋なもの。
作品を制作するときに筆によって白いキャンバスが塗られていく景色は、心が磨かれていくかのような状態です。

また、一音を鳴らすとき、肉体が物理的に動く運動に対し精神はますます集中して一音に魂を投じます。料理にも味覚を通じて芸術は宿ります。

そして睡眠から目覚めたすぐの意識。
やがて意識ははっきりしてくるのですが、それまでの数秒は不思議な世界へと繋がっている瞬間。

大人になってしまうと無垢になることはとても難しく、子どもの頃にあるような純粋な心を持つことは難しいです。けれども「純粋」がどういう状態かを想像することで、近い景色をみることができるのではないでしょうか。

ヨガや瞑想にあるような自浄作用。
そしてアイデアと即興性と技術のバランス。

そういえば、「トイレの神様」という歌がありました。
また、家の廊下をぞうきんがけしているときの集中力。
であった人と友達になりたいと思う動機。
趣味のランニング…

これら全てのことは何気ないことではありながら、持続させるための身体づくりが必要です。「~したい」というアイデアはアイデアだけでは実らず、また、技術によって効率よく理に適った方法でできるだろうし、そこに時には即興的にいつもと違うことを加えてみると、楽しさが増すでしょう。
「トイレの神様」はトイレ掃除を思い出しますし、キレイに磨いていると神も宿ることを歌っています。

どんなことにもきっかけは宿っています。
でもそれらに力が入りすぎないように。




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