写真家・秋野深のやさしい旅のフォトレッスン

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第19回
風景の雄大さを上手に表現しよう!

旅先では、たくさんの素晴らしい場面、見たこともない光景に出会うことが多く、誰しも自然とシャッターを切る機会が増えることでしょう。ところが、写真を後で見返したとき、旅先で感じたはずの印象をうまく残せた気がしない・・・そんなことを思われたことがある方は多いかもしれません。
よく耳にするのは、特に海外で広々とした風景を目にして、その雄大さやスケールの大きさに感動して写真を撮ったのに、写真からはそのスケール感が全く伝わってこない・・・というものです。 見た目の印象と写真の印象というのはそもそも違うものです。それを全く同じに、というわけにはいきませんが、工夫できることはあります。今回のレッスンでは、風景の広がりや迫力を上手に伝えるポイントについてお伝えします。

■風景の中に、人を小さく入れてみよう!

広大な風景のスケールの大きさを写真で表現するのは、そもそも難しいことだといえます。というのも、写真をよほど大きく引き伸ばすのでない限りは、写真の中の風景は実物よりはるかに小さなものになるからです。地平線の彼方まで続く光景が、写真では、葉書サイズやパソコンのモニターの大きさに入ってしまっているわけですから、どうしてもスケールは実物より小さく感じられてしまって、物足りないと思うのはある意味自然なことかもしれません。ですが、写真の中におさめることでこじんまりしてしまいがちな風景を、少しでも広大に感じさせるためにできることがあります。それは、私たちにとって大きさが実感しやすいものを小さく一緒に写し込んでみる、ということです。
もちろん、風景だけを写すことによって、静寂さや荘厳さが伝わりやすいということはあります。しかし、広大な風景はどうしても漠然としていて、さらに写真では実物より明らかに小さいとなると、大きさという点では伝わりにくいものです。
もし、周りに人がいれば、風景と一緒に小さく写し込んでみてください。そうすると、人との対比で、周囲の風景の広がりが写真を見ている側にも少し感じられやすくなります。
よく、「広大な大自然を目の前にすると、人間の存在が小さく感じられる・・・」という表現を目にしますが、その対比をそのまま写真にしているようなものですね。



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