写真家・秋野深のやさしい旅のフォトレッスン

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第35回
表情豊かな石像たち ~カンボジア・アンコール遺跡群~

世界的に有名なカンボジアの世界遺産・アンコール遺跡群。アンコールワットという名称がよく知られていますが、アンコールワットは、とてつもなく広大なアンコール遺跡群のほんの一部でしかなく、他にもヒンズー教・仏教の様々な寺院跡など、貴重な遺跡が数多くジャングルの中に残されています。
私は、アンコール遺跡群の観光拠点となるシェムリアップで自転車を借りて、5日間ほどかけて遺跡群を巡ってみたのですが、それでも見ることができたのは全体のほんの一部。それほどにスケールの大きな遺跡群なのです。
今回ご紹介するのは、アンコールトム。アンコールワットとともによく知られた遺跡で、大きな石像の顔が並ぶ四面塔が特に有名です。

■どこにいても、まるでたくさんの石像に見つめられている感覚!

四面全てに大きく顔が彫られた四面塔があるのは、アンコールトムの中のバイヨン寺院。この石像は観音菩薩とのことですが(諸説あり)、口元が上がっていてはっきりと笑顔の表情に見えたり、体がなく大きく顔だけが彫り込まれているからか、迫力ある表情で迫って来るように感じられたりと、日本の観音菩薩とはかなり印象が違います。

【写真1】
【写真1】
いくつもの塔の間を歩いていると、どこにいてもあらゆる角度から見られているような不思議な感覚にとらわれます。どの顔の眼を見ても、自分を見つめているような気もしてくるのです(笑)。

■角度を変えてみると、違った表情を発見できます!

こうした石像の表情は、自分が動いて違う角度から見てみると、不思議なもので印象がずいぶん変わったりするものです。
人の顔について、「横顔が○○に似ている」といった言い方をしたりしますが、これも角度によって見え方の印象が大きく変わるからですよね。
これまでのレッスンでもお伝えしてきましたように、被写体がどんなものであっても、自分が動いて様々な角度から被写体を観察することは撮影をするうえでとても大切です。

バイヨン寺院のいくつもの顔も、パッと見では、どれも同じような表情に見えますが、角度を変えてよく見てみると、穏やかに静かに微笑んでいたり、眼を見開いて大きく笑っていたり、そっと眼を閉じていたり・・・石像はそれぞれ違って実に表情豊かに思えてくるものです。

【写真2】
【写真2】

一見すると表情に変化はないように思える被写体でも、なんとなく足をとめたところで撮影するだけではなく、まずは表情探しをするつもりで動きながら観察を楽しんでみてください。きっと自分だけにしか気づけない個性的な表情を発見できることでしょう!

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