写真家・秋野深のやさしい旅のフォトレッスン

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第4回
基礎編(4) 主役を決めて、全体をよく見て!

■シンプルに主役を決めて!

「写真を見返してみたら、写したつもりのないものがあれこれ写っていた・・・」というのは初心者の方々からよく聞く話です。
漠然と無造作に撮っても写真は撮れるというのがカメラの便利さではありますが、少しでも印象深い写真にと思われるなら、撮るときにちょっとした配慮が必 要です。インパクトのある「伝わる写真」には、やはり無駄なものが写っていないものです。無駄がないからこそ伝わりやすいわけです。
そうは言っても、何が無駄で何が無駄でないのか…。さすがにそんなことを撮る直前に時間をかけて考えていられないですよね。大切なことは、シンプルでよいので、まず主役、ポイントになるものをはっきり決めて撮る意識を持つことです。この主役を決める意識がなく撮ってしまうと、どうしてもあれもこれもといろんなものを写し込んでしまいがちです。そういった写真は、その場の様子はなんとなく伝わるものの、何かが強調されてインパクトのある「伝わる写真」にはなりにくいでしょう。

■全体を見回す習慣を!

写真を撮ろうと思うときは、目の前のものに感動したり、興味を持ったり、記念に残そうと思ったり・・・と何かきっかけがあるはずです。たいていはそのきっかけが写真の主役になるのが自然です。例えば、花を見つけて、きれいだなと思えば、当然、その花が主役になるでしょう。
ところが写真というのは、その主役だけを切り取って写しているのではないところに難しさや面白さがあります。主役にした花だけをよほどアップで撮るのでな い限り、花の手前や周辺、さらに、その奥にあるものも写真に入ってくるはずです。大切なことは、こうした主役以外のものも意識することです。もしかした ら、主役以上に存在感のあるものが写真に入ってしまっているかもしれないからです。 ほんの一瞬でいいので、写真に撮ろうと思った枠の中を全体的にサッと見回す習慣をつけてみてください。写したつもりのないものが写っていたということは随分減ると思います。さらに、主役以上に目立つものや色がないかチェックする余裕もあれば理想的です。
無駄なものに気づいて、ちょっと捉え方を変えたり立ち位置を変えたりして省くことができれば、それだけ強調したいものだけがシンプルに際立ちやすくなります。

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