荒野のエッセイスト(映画編)

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第13回
モテキ

中心人物は草食系でオタッキーな主人公に扮(ふん)する森山未來。
彼の安定した演技力が映画全体を引き締めているが、
何よりもヒロイン役の長澤まさみが文句なしにチャーミングだ。
オタクのくせに美人でグラマー。
カラーッと笑顔で不倫もするが、実は心の奥にはウェットでじめじめした別の顔も抱え込んでいる。
そんな今どきの女の子の心情をキッチリと演じ切っている。
主人公を罵倒しつづける同僚(真木よう子)も、子持ちのキャバ嬢(仲里依紗)も、とびっきりの存在感を示している。
揃いも揃って出演者がおいしい演技をしているということは、監督・脚本の大根仁のお手柄か……。
突然画面に登場するシュールな文字、21世紀のJ・ポップ、
あっと驚くカウンター・カルチャー系のゲストの使い方にもセンスが光る。

今どきの映画はどうも……。
と嘆きの貴兄へ。
たまにはこんな拾い物もありますよ。
スポーツジムに通ったり、ジョギングするだけが若さを保つ秘訣ではない。
たまにはこんな日本映画を見て、現代感覚を養って下さい。

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