荒野のエッセイスト(映画編)

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第5回
菜の花と強姦

壮大な菜の花畑を見ようと、中国の羅平という村に行ってきた。

僕は今年の1月中旬、旅行代理店に、羅平の菜の花の開花状況を尋ねた。
すると「現在はまだ一分咲きだが2月中旬から下旬にかけて満開となるだろう」という答えが返ってきた。

それならばと、2月14日からの「春爛漫の羅平ツアー」への参加を申し込んだが、出発の直前に代理店から連絡があり「中国も日本と同様の異常気象で、いまだに一分咲き」というネガティブな情報が伝えられる。

あらま……。

ま、仕方がない。強引に休みも取ったことだし、とりあえず行ってみよう!
羅平は中国の雲南省にあり、岩手県ほどの大きさで、山と畑に囲まれたのどかなカルスト大地。美しいだんだん畑でも有名だ。

春先にはこのすべての畑が菜の花畑に変貌する。
中国政府は、夏や秋には何を植えてもいいが、この季節には観光客向けに菜の花を植えることを奨励している。優遇措置もある。
そうなるとさすが共産圏。
「でも、私はキャベツ」なんて気配はさらになく、どこもかしこも右へ倣えで、大地は「菜の花の海」と化す。

ところが、やっぱり、予想通りの一分咲き。
そこには緑色の(少し黄色っぽい)草原が広がっているだけ……。

羅平に到着した時はかなり落胆したが、どの世界にも早熟なやつはいるもので、ほんの一カ所だけ菜の花が満開という地域があった。一カ所とは言えど、とにかく分母が大きいため、そこでは見渡す限りまっ黄色。僕は小さく納得した。

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