荒野のエッセイスト(映画編)

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第28回
「人生の特等席」と邦題について

今年で82才になったクリント・イーストウッドが
メジャーリーグのスカウトマンに扮(ふん)する
「人生の特等席」。
イーストウッドのけた外れの風格と堂々たる演技力で
良質な娯楽映画に仕上がっているが、
ストーリーだけを取り上げると
あまりにも出来すぎだ。
「そんな偶然はないだろう!」
と思わずツッコみたくなる都合のいい展開。
イーストウッドじゃなかったら
薄っぺらな映画になっていただろうな。

ここで邦題の話。
この映画の原題は
「TROUBLE WITH THE CURVE」
何と訳していいか迷う。
タイトルを付けるとすれば
「カーブのトラブル」
が最も無難かもしれないが、
それではあまりにもつまらない。
映画の内容に即して言えば
「カーブは苦手」。
もうひとひねりすれば(カーブだけに)
「悩みの種は変化球」
これじゃ1950年代のプログラムピクチャーだな。
原題をそのままカタカナにするケースも多いので
「トラブル・ウィズ・ザ・カーブ」
となるのが自然な流れかとも思える。
最近では強引にザを取ってしまうのも一般的なので、
(これはいけないことだと思うが)
「トラブル・ウィズ・カーブ」
の線もあっただろう。

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