荒野のエッセイスト(音楽編)

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第13回
THIS IS JAZZ

THIS IS JAZZ ベスト&グレイテスト
「ジャズのすべてがここに~ブルーノートをはじめ名門レーベル勢ぞろい! 決定的名曲・名演ばかり25曲・約2時間40分収録」
定価2500円(税抜価格 2,381円)
発売元・(株)EMIミュージック・ジャパン

前回の続きです。
東京ドームシティの新星堂をのぞくと「ザ・ビートルズ1」のリマスター盤がズラリと並んでいた。
その時の洋盤ベスト3は、一位がレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、二位が「恋する“せつなキュン”ヴォイス」のキャッチフレーズのシェネル。
三位が「ザ・ビートルズ1」。
どれを買おうかなと迷いに迷い、結局は別のコーナーにあった「THIS IS JAZZ ベスト&グレイテスト」に手を伸ばす。
DISC1ではアート・ブレイキー、ビル・エヴァンス、ソニー・ロリンズなどの書き下ろしのインストゥルメンタルが11曲、DISC2ではナット・キング・コール、ヘレン・メリル、ルイ・アームストロングなどのボーカル曲が7曲と、デューク・エリントンを始めとするお馴じみのミュージシャンによるスタンダード・ナンバーが7曲の、合計25曲。
昔、レコードは持ってたんだけどCDは買ってないよなァ……。
そんな曲がギッシリと詰まっているのでお得感が漂う。
このところ続々とジャズのコンピレーション・アルバムが発売されているのは、何ともありがたい。
まずは久々に聴くアート・ブレイキーの「モーニン」にシビレる。
かつて何回も何回も聴いた曲が五臓六腑に染みわたる。
久々に別れたカノジョ(それもいい女!)と再会したような気分。人間は年取るが、こちらは昔のまんま。いや、それどころか、着ているものは昔より若々しい。
ヘレン・メリル、ジュリー・ロンドンのけだるい声がたまらない。
キャノンボール・アダレイ&マイルス・デイビスの「枯葉」……。
長い奇妙なイントロが続き、マイルスのミュート(弱音器)をつけたトランペットが流れてくると、
粋とはこういうことだ!
オシャレとはこういうことだ!
デリカシーとはこういうことだ!
と叫びたくなってくる。
オールディーズの夏が終わり、ジャズの秋がやって来た。
僕にとって、おいしいジャズのつまみ食い。
ちょっと気は散るが、枕元に置いておくにはぴったりのCDだ。

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