荒野のエッセイスト(音楽編)

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第26回
なぜ、ここで、この曲が?

第2位……。
とあるデパート。
僕は開店と同時に店内に駆け込む。
その時、耳に飛び込んできたのは、
メアリー・ホプキンの「グッド・バイ」。
入店したとたんにグッド・バイと連呼され、
僕は思わずムッとする。
これはおそらくデパート側のうっかりだろう。
僕は思う。
この曲は閉店の時にかけてくれ。

そして、いよいよ栄光の第一位は……。
中国湖南省。
武陵源風景名勝区の断崖絶壁に、
百龍天梯という世界最長のエレベーターがある。

日本人向けのケージもあり、
そこには日本語のナレーションも流れる。
このエレベーターは全長335メートル、
所要時間は1分58秒、
などなど……。

そのBGMに使われていたのが
日本でも大ヒットしたある映画のテーマ曲。
その主題歌はあまりにも意外な曲だった。
中国映画なら納得だし、
この地を舞台にした「アバター」という手もある。
百歩ゆずって「80日間世界一周」「エデンの東」「トップガン」……。
ところが、そこに流れていたのは
オリヴィア・ハッセイ、レナート・ホワイティグ主演の
「ロミオとジュリエット」(1968年)のテーマ曲。


武陵源の世界最長のエレベーター
「百龍天梯」

ロミオとジュリエット


世界自然遺産にも登録された世にもまれなる絶景を
ガラス張りの扉ごしに眺めながら、
哀愁に満ちたテーマ曲を聞く。

全く意味が分からない。
これぞワースト・チョイス。
おそらく意味はないのだろう。
だけど、僕の心は千々に乱れる。
もう少し選曲には気使ってほしい。

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