荒野のエッセイスト(音楽編)

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第30回
邦題を考え直す

一方、ビートルズ以前のエルヴィス・プレスリーのレパートリーは
「邦題天国」とも言える。
ツッコミどころ満載の
独自の邦題がいくらでも見つかる。
「お日様なんて出なくても構わない」
「かゆい背中をかき合おう」
「五人の寝坊さん」
「誰も一人では立てない所」
「二人は誰?」
「私は誰?」
「私を縛らないで」
「ヨガ修行」
…………
およそキング・オブ・ロックンロールの
レパートリーとは思えない。
しかし、このどれもが原題をほぼ直訳したものなのである。
直訳すればいいってもんではない。
さらに「フィーバー」の発売当時のタイトルは「胸がもえたぜ」
「サスピション」が「うたがい」
「ローディ・ミス・クローディ」は「クロウディばあさん」
と何ともダサい。

「ドント」
に至っては
「ドントまづいぜ」
だった!
いくら何でもそれはまづいだろ!
ジャケットの小さい文字が見えますか?

どの曲もいつしか原題に戻ったが、
逆のパターンもないではない。
「Reconsider Baby」
は最初
「リコンシダー・ベイビー」
だったが、
「考えなおして」
に変わった。
文字通りReconsider(再考)したのだろう。
原題のままだと日本人の耳にはどうしても
「離婚したベイビー」
に聞こえる。
何でもかんでもカタカナにすればいい
というわけではないだろうが、
日本語に直訳するのも前時代的。
多少は飛躍した方が面白い場合もあるが、
そのさじ加減がむつかしい。
制作サイドのセンスが
問われるところだ。

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