How to be a Gentleman

バックナンバー

第4回
コミュニケーション力は、感性を磨くことからはじまります。

菅野社長は、国際的なラグジュアリー・ホテルや総合会員制ホテルなど、ホテルマンとしてまた総支配人として、その知識とご経験は豊富で、幅広い層のお客様と関わり合いをもたれています。今までに印象に残った、まさしく紳士だった方のエピソードをお聞きしたところ、ホテルマン時代に影響を受けた恩人、二人のお話をしてくださいました。

「一人目は、ホテル西洋銀座の初代総支配人、永井氏です。20数年前になりますが、ホテル西洋銀座の開業準備室はプロフェショナルの集まりでした。当時私は、お客様とは一線を引かなくてはならないと思っておりましたが、距離を置くことが、失礼にならないようにすることではないということを、永井氏から学びました。永井氏はニューヨークのウォルドーフアストリアタワーの支配人を日本人で初めて務めた方です。自信に溢れた堂々とした立ち居振る舞いで相手の心をつかみ、そして世界の賓客とも堂々と握手をする姿。その欧米流のコミュニケーション術は、実に「カッコイイ」の一言につきます。これこそがホテルマンといった、接客業のプロフェッショナルで、日本人離れした永井氏を通して、欧米の文化に触れたようでした。

もう一人の恩人は、ホテル西洋銀座のお客様であり某外資系企業の広報部長だった方でした。ホテルマンである私に対して自分のネットワークや情報を惜しげもなく教えてくれ、そして応援してくれる、まさにジェントルマンです。ところが、色々な業界の方々を紹介してくださるのですが、私はその方たちとのお話についていけないのです。ご紹介いただいた同世代の異業種の方々は趣味も知識も多彩で、様々な方とコミュニケーションができることにショックと刺激を受けた私は、それを機に一念発起。「1年間ありとあらゆる新しい文化に触れる!」を心に決めました。 歌舞伎、クラシック、オペラ、浄瑠璃…。ジャンルも金額もいとわない!と妻にも周りにも宣言をし、劇場からデパートの催事まで1年で180もの場所に顔を出しました。その中でハマったのは、浄瑠璃と歌舞伎、クラシックバレエでした。この「修行」の一年があったからこそ、幅広い年齢の、また色々なジャンルの方々とお話が出来るようになり、それが特技にもなりました(笑)。こうした経験は感性が磨かれます。伝統文化をはじめ身の回りの様々な世界に目を向けることで、ホテルのお客様との距離も近くなることができ、若いスタッフを応援できる上司にもなれました。感性を磨けば、相手にもお客様にも不愉快な思いをさせず自然に振舞えるプロフェッショナルさ、ホスピタリティが身に付きます。それはまた、日常でも相手に対する優しさや思いやりにつながっていきますね。」

(次回に続く)

●ホスピタリティマネジメント株式会社
http://www.homa.jp

コメント