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第2回
海外で日本語を教える人、学ぶ人 ~ベトナム編・後編~

2012年3月29日の朝、ホーチミン・シティは気温30度を超え、上半身裸で短パン姿のおじさんたちがブラブラと散歩していた。まぶしい日射しの中、私もポロシャツ姿で日陰を探しながら歩いていました。そこから、飛行機に乗って2時間。ハノイに着くと、気温差20度、一気に気温10度まで下がったのです。どんよりと曇った空の下、道行く人々はダウンやコート姿で別世界でした。これから、ベトナムを訪れる予定の方、東南アジアだから一年中暑いんだろ、という先入観を持っていると、季節と地域によっては、寒い思いをするのでご注意くださいね。ちなみに、ホーチミンとハノイの距離は約1,800キロメートル、那覇と新潟と同じくらい離れています。

ハノイ到着後、現地の日本人向け情報誌『ベトナム・スケッチ』編集部のIさんと合流し、フランス領時代の建物を改造したレストランに連れていってもらいました。ハノイは、ホーチミン・シティのような高層ビルや近代的な建物は少なく、その代わり、趣のある古い建物が多く残っています。別の日に行った食堂は建物本体が傾いていて、テーブルの上に箸を置くとコロコロと転がっていきました。小雨模様の空、ガジュマルなどの南国の植物、フランス風のコロニアル建築物、小さな屋台など、どこで写真を撮っても、絵になる街でした。ただ、バイクはここでも、我が物顔で走りまくっていて、気を抜くとひかれそうになります。

ところで、みなさんは、ベトナム料理はお好きですか? 辛すぎることなく、繊細な味わいの、フォーや春巻きなど、日本人の口に合いますよね。本場で食す料理は、値段は安くても、贅沢な気分を味わえました。日本で食べるベトナム料理には入っていない、現地ならではの野菜やハーブが効いていて、味わいに深みが加わっています。サラダ一つとっても、噛みしめるたびに、幸せな気分になりました。日本人駐在員も食べ物にだけは、誰も不満を言う人はいないそうですが、納得です。

夕ご飯を楽しんだ後、Iさんに街の中心地を案内してもらっていると、広場に若者たちが集まっていました。当時、彼らの間では、ジャスミン茶を片手にヒマワリの種をつまみながら、広場でおしゃべりするのが、流行っていたそうです。ついでに、ハノイの街は、バイクにさえ注意すれば、散歩に最適です。ちょっとした迷路感覚を楽しみながら歩いていけば、美味しそうな食堂や、可愛い雑貨屋を発見できます。また、アジアの多くの国では、観光スポットにはしつこい客引き待ちかねているのがお約束ですが、ベトナムの商売人は、空港のタクシーの客引き以外は、あっさりしています。これは、一応、社会主義国家であるためなのでしょうか?

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