世界とにほんご

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第4回
海外で日本語を教える人、学ぶ人 ~中国編・後編~

さて、前回に続き、2011年9月に取材で北京を訪れた時に出会った日本語学習者について紹介します。

男だけの日本語スピーチコンテスト

取材最終日、カリスマ日本語教師として中国で有名な笈川幸司先生が企画した「男だけの日本語スピーチコンテスト」に足を運んできました。これは、日本語を学んでいる男子大学生を40人近く集め、「どうしても言いたいこと」というテーマでスピーチをする大会。なぜ男子限定なのですかと笈川先生にお聞きすると、日本語スピーチ大会では、毎回、女子学生が上位を独占してしまうので、男子学生を勇気づけるためだそうです。確かに、今回の取材であった女子学生たち、勉強熱心でしっかりしていました。

さて、日本大使館で開催された、この日本語スピーチ大会ですが、若い男の子たちの本音が伝わってきて、大笑いしたり、目頭が熱くなったりと、心揺さぶられるものでした。では、特に印象に残ったスピーチを紹介していきますね。
最初にスピーチしたのは、地方の農家出身の純朴そうな学生。故郷の父親に公務員になれと言われているが、日本に留学して、自分の可能性を試したい、という熱い思いを語り始めました。貧しい生活を切り詰めて大学の学費を出してくれた父親の希望に背くことになるかもしれないが、ここで決意表明することで、「お父さんにぼくの思いを伝える勇気としたい。何度も説明すれば、きっとお父さんも分かってくれるはず」とスピーチを結びました。
ある元気な学生は、大きな声で、女子学生の参加していないこのスピーチ大会は、男子への逆差別だ! 我々、男子学生は奮起して、次は、通常のスピーチ大会に参加し、女子学生に負けない結果を出そうではないか、とみんなにアピール。拍手が巻き起こりました。
「彼女が欲しい」と訴える、おしゃれできゃしゃな男の子は、「日本語学科には女性が多いけど、その大半は、男性同士の恋愛に興味を持つ、『腐女子(男性の同性愛のマンガなどに熱中するオタク女性のこと)』です。彼女たちに、お似合いの男子学生をマッチングされているうちに、男性が気になるようになってきそう。だから、ぼくは早く彼女を作りたいんです!」と、とつとつと自虐ネタを語っていました。

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