知って損はない、働き続けるための心がけ

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第6回
「聖域」、作っていませんか?

「聖域」、作っていませんか?

自覚のない場合もありますが、今の組織で居場所を確保するために、自分にしか分からない業務、すなわち「聖域」作ろうとする人がいます。
加えて、「どういう考え方で、こういう処理をしなければならないのか」「どういう経緯で、こういう業務フローになっているのか」と聞かれてもまともな説明を避けたり、同じ部門の後輩や同僚にも業務の詳細を教えなかったりと、やや強引な態度をとる人もいます。

今いる職場で長く働き続けるために、こうした「聖域づくり」は果たして有効なのでしょうか?
「あの人に任せておけば安心」と思われるか、「あの人はああしないと自分の立場を守れないんだ」と思われるか、周囲の認識はこのどちらかだと思います。

前者の場合、しばらくポジションは守れるでしょう。たまに、長らく経理担当をしていた社員が、幾年にもわたって売上金や経費などを横領していたことが発覚して捕まる事件が発生しますが、そういう人はこのような環境下にいたものと思われます。
また、安定的に業績良好の会社で、必死に働かなくても良い天下太平な職場では、わざわざ他人の業務に首を突っ込む必要がないので、「聖域」は平和に守られることでしょう。
しかし、いずれにせよこのような組織が多数派でないことは間違いありません。

「聖域」の壁が崩れるとき

後者の場合も、わざわざ「聖域作るなよ」と言ってくる人はいませんから、一見安泰です。
しかし、何かのきっかけから「○○さんは仕事を囲ってしまうからやりにくい」「あの業務はブラックボックスになっているから、正しいやり方をしているかどうかわからない」と、いろいろな人が影でささやき合うようになり、上司の耳にも届くようになります。そうなると、徐々にですが着実に「聖域」の壁は崩れていきます。

第2回のコラムでも少し触れていますが、人間が人間を評価・判断する時、必ず「好き」とか「嫌い」といった感情が大きく影響します。ですから、「聖域」がどんなに非の打ちどころがない完璧な業務フローであっても、誰かにネガティブな感情を抱かれた時点で、その「聖域」の崩壊は始まってしまうのです。

また、会社や組織は、社員の個性を活用しようと考えている一方、特殊技能が求められる職種は別にして、大概の業務は訓練すれば大概の社員が代替できると考えています。ですから、周囲と協調せずに業務を一人で抱え込んだ場合は、上司の判断でその仕事から引き離されてしまうこともあります。
極端な例ですが、周囲とうまく仕事ができない社員を集めて“非オールスター部門”を作った会社もありました。「厄介な社員同士でもめ事でも起こして、辞めてくれればラッキー」ということなのでしょう。
とにかく現在「聖域」があり、今は守られているとしても、それがずっと続く保証はどこにもないということです。

では、どのように周囲と協調しながら、新しい自分の居場所を作ればよいでしょう。
次回は、その具体的な考え方を、例を交えて述べていきたいと思います。

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