知って損はない、働き続けるための心がけ

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第1回
定年後は今の会社にいられない?

では、受け入れる側の企業の状況はどうでしょうか。厚生労働省のデータによると、定年退職後の再雇用制度があるのは、平成21年では30人以上の規模の企業で90%程度を占めています。平成17年には77%でしたので、社会情勢に合わせてきたといえましょう。
しかし、制度があるだけは安心できません。そのうち、希望者全員を勤務延長としているのは、30人~300人の企業で55-58%、300-1000人以上の企業で41%、1000人以上の企業では29%です。同様に再雇用に至っては、38-48%、30%、19%となっています。つまり、比較的お互いの顔が見えやすくて、感情的なつながりが生まれやすい中小企業においてさえ定年後も皆いて欲しいと考えている会社は50%程度であり、立派な大企業になると、そんなに多くを保持できない前提で制度が組まれているということです。最大の理由はもちろん資金面です。
また総務省統計局のデータによりますと、2006年データで、企業数は470万社あります。そのうち20人以上の企業数は21%の100万社。20人以下の企業数は370万社です。小規模企業では感情的なつながりはもっと深いでしょうが、資金的な脆弱さもありますので、上記の30-300人企業と同程度もしくはそれ以下でしょう。
つまり、約半数は自分が希望しても、定年後も自分の会社で働くことは難しいということです。長年勤めた自分の会社ですら再雇用されにくいのですから、他人の会社ではさらにハードルは高いでしょう。それだけシビアな時代になってきています。
そうした逆風の中で、存在を認めてもらわなければなりません。恐らく望むことの全てをかなえられるのは、いわゆる“エグゼクティブ”や“勝ち組”というごく一握りの高い役職者だけになるでしょう。大半の人は、「何を捨てるか・どのネガティブ要素なら受け入れるか」という価値観の軸をまずはっきりさせなければならないのが現実です。

少し気分が暗くなるようなお話をしてしまいましたが、あくまでも申し上げたいことは、自分の感情整理するにあたって冷静に事実を見ておいた方がいいということです。一連のことを踏まえたうえで自分が何を優先させたいのか、させなければならないのかを明確にしておきましょう。
次回からは、働き続けなければならないと決心した場合に、まず自分の現状を知るためのチェック項目。そして、可能性を拡げるためのポイントを挙げていきたいと思います。

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