知って損はない、働き続けるための心がけ

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第8回
企業人から起業人への道〈1〉;
知らなかった!気づかなかった!あれこれ

予想以上の売上ハードル

「俺は自分の食いぶちくらいは自分で稼げるわ!いつだって辞めてやらあ!」
と居酒屋で豪語している人の姿をたまに見かけます。しかし、仮に500万円の年収の人がいた場合、自分の商品・サービスを500万円売ればいいというわけではありません。では、いくら稼げばいいのでしょうか?

サラリーマンは厚生年金や社会保険などについて、給与の15〜20%を会社に負担してもらっていますので、実質600万円程度の額を会社はその人に払っていることになります。
さらに会社の信用やインフラを使っている以上、その分も考えなければなりません。独立したらアウトソースしたり自分の時間を使ったりするなりして、今現在誰かがやってくれていることを自分(たち)でやらなければならないからです。
例えば人件費を除いた利益率が20%の会社であれば、その人は3,000万円以上売ってこないと自分の給料分を残せないことになります。印象や信用が響く商品・サービスであった場合には、認知してもらうための投資も今までの水準以上に必要でしょうから、その分さらに上積みされます。

また、詳しい説明は省きますが、会計処理と税務処理は異なる基準で計算されます。仮に起業して売上が得られ、自分では「今年は損益ゼロくらいだから、大して税金はかからないな。よしよし」と思っていたら、一部の経費が税法上は損金として認められず、予想以上に税金を払うことになったりもします。
つまりこの例であれば、「500万円くらい独立したら稼げるさ」ではなく、「余裕を見て、4,000〜5,000万円以上売らなくては。また、その数倍分くらいの潜在顧客も抱えなければ」くらいの目線で考えなければならないことになります。

あくまでもイメージをつかむうえでの単純計算ですので、目安についての考え方だと捉えていただければと思います。自分で計算したハードルを超えられる感触をつかむなり、事前に約束を取り付けるなりしてからでなければ、起業は最初からつまずいてしまう可能性が高いといえるでしょう。

一方、起業は結婚と似たようなもの(?)で、する瞬間は大いなる夢を抱き、直感と勢いを最も大事にすべきではないかとも思います。人生をかけようという場面で、目の前のお金をチマチマと考えることは興ざめなことかもしれません。ただ、少し冷静な頭も残し、現実を直視しなければ、うまくいくものもいかなくなってしまう恐れはあります。

次回は、2つめの条件「5年後も目に浮かぶネットワーク」について述べていきたいと思います。

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