江戸の名残を歩く

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第2回
将軍様の庭園・浜離宮恩賜庭園を訪ねる

将軍専用の船を江戸湾に浮かべて、浜御殿に直接船を付けていたのです。旧浜離宮恩賜庭園内に「将軍お上り場」という場所があり、そこから将軍は上陸していました。現在は、東京水辺ラインの船着場が近くにあります。

将軍は現在も残っている中島の茶屋など庭園内のいくつもの茶屋で休息しながら、一日を過ごしました。特に、園内の池での釣りを楽しみにしていたようです。淡水魚だけでなく、海水魚も釣れたことは、潮入りの池ならではの楽しみでした。

現在、旧浜離宮恩賜庭園に入るには、大手門橋や中の御門橋を渡ることになります。なかでも大手門橋は、名前の通り江戸城の正面玄関にあたる大手門をくぐるような感覚に陥る門です。将軍の庭となると、それだけ警備も厳しかったということなのでしょう。あたかも、江戸城の中に入るような感じです。

徳川将軍のなかでも、11代将軍家斉は浜御殿を250回も訪れました。時には、大奥の女性たちも連れ、船で訪れたと伝えられます。大江戸の華やかな文化が、この庭で繰り広げられていたのです。

この浜御殿も明治に入ると、皇室の離宮が置かれ、浜離宮と呼ばれるようになりました。戦後、東京都に下賜され、旧浜離宮恩賜庭園として一般公開されています。現在は高層ビルに囲まれていますが、江戸そして将軍の面影は庭園という形でしっかりと残されているのです。

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