江戸の名残を歩く

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第11回
向島を歩く・その2

東向島駅
東武博物館

今回は東向島駅からスタートです。東武博物館が併設されていますので、昔の車両に関心のある人は立ち寄っていきましょう。

向島百花園入口

最初は都立庭園の一つである向島百花園を訪ねます。
向島百花園には、前回訪れた長命寺や弘福寺、今回訪れる白髭神社と共に、隅田川七福神の一つ福禄寿が祀られています。向島百花園の創設者、佐原鞠塢こそ隅田川七福神を企画した人物なのです。
佐原鞠塢は、自然との触れあいを望む江戸っ子の願望に目を付け、当時寺島村と呼ばれた農村の土地3000坪ほどを買い取り、360本の梅の木をはじめ様々な樹木を植樹しました。そして、向島百花園と名付けて一般に公開したのです。梅が見所の庭園でもあり、また、亀戸に梅屋敷という名前の庭園があったことから、新梅屋敷とも呼ばれました。文化元年(1804年)のことです。
今も盛んな札所めぐりが定着したのは、江戸時代です。そんな江戸っ子の傾向に目を付け、いくつもの寺社をお参りする札所めぐりのコースが次々と作られていきました。そんな中、札所めぐりと隅田川縁の自然を両方楽しめるという趣向で、佐原鞠塢は隅田川縁の寺社を選んで七福神とし、隅田川七福神を創設したのです。向島百花園内には福禄寿を祀り、百花園にも訪れるよう工夫を施しています。
こうして、隅田川七福神は江戸っ子の人気を呼び、将軍まで訪れる庭園となったのです。向島百花園内には、将軍の御成座敷が残されています。

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