江戸の名残を歩く

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第31回
徳川家康と菅原道真に上野で出会う

寛永寺境内だった上野公園内には神社も2社鎮座していますが、この存在は寛永寺ほどには知られていないかもしれません。
上野公園に江戸の面影を探す3回シリーズの最終回は、上野東照宮そして五条天神を御参りします。

東照宮鳥居

上野公園内に建つ施設のなかで、最も知られていて賑わっている場所と言えば、何と言っても上野動物園でしょう。それに引き換え、左横に鎮座する神社は静寂な空間を保っています。上野東照宮です。鳥居に向かって歩きましょう。
東照宮は徳川家康を祀った御宮ですが、江戸には2つ東照宮が鎮座しています。上野東照宮と芝東照宮です。

社殿へ

寛永寺が上野のお山に創建されたのは寛永2年(1625)のことです。上野のお山には元々、戦国武将の一人で伊勢国津藩の初代藩主となった藤堂高虎の屋敷がありました。高虎は家康の信任が厚かった大名で、家康の死後、現在地に東照宮を建立します。これが上野東照宮のはじまりです。

修復中の社殿

しかし、祖父にあたる家康を尊敬する3代将軍家光は、高虎の造営した東照宮が気に入らず、同所に改めて社殿を造営しました。以後歴代将軍が寛永寺に参詣する折には、この家光が造営した東照宮にも参詣することになります。
鳥居は、寛永10年(1633)に酒井忠世という大名が奉納しました。高さは5メートル以上もあります。

手水鉢

境内には寛永寺の近くで見たような多数の燈籠がありますが、これも諸大名が奉納したものです。手水鉢も巨大ですが、その上に掛かっている鈴も巨大です。

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