江戸の名残を歩く

バックナンバー

第33回
隅田川で江戸一の料亭街に出会う

前回は浅草橋を渡りましたが、今回はその隣に架かる柳橋を渡りながら、江戸の世界に浸ってみましょう。

柳橋

神田川にはいくつも橋が架かっていますが、一番東に架かっているのが柳橋です。柳橋を過ぎると、神田川は隅田川に合流します。橋のほとりに柳が植えられていたため、橋の名前を柳橋と呼ぶようになったそうです。それが地名にもなりました。

柳橋界隈には華やかな歓楽街が広がっていました。現在、東京の料亭街と言うと、新橋や赤坂などの街が思い浮かぶかもしれませんが、江戸の料亭街と言えば柳橋が一番でした。時代劇や時代小説にも柳橋の名前は良く出てくるのではないでしょうか。
隅田川にも近いという好立地条件もあり、船宿や料理店が数多く軒を並べました。そして、遊客を船に乗せて隅田川に案内したのです。江戸の華やかな文化を支えた町の一つであることは間違いありません。
柳橋芸者という言葉も残されています。まさに、柳橋が江戸の花街だったことを象徴するような言葉と言えるでしょう。

柳橋から屋形船を見る

さすがに、現在では船宿の数は少なくなりましたが、今も屋形船が何隻も繋留されています。江戸の面影が伝わってくるような光景です。


橋の欄干のかんざし

かつては木造の橋でしたが、現在は鉄橋です。一見、橋には江戸の面影は残されていませんが、欄干を見ると花かんざしが埋め込まれています。江戸情緒に富む柳橋の風情が感じ取れる趣向です。

コメント