人はなぜ『道』を探すのか?庭道への道

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第11回
春と暦

マツの赤芽摘みは3月中に行います。

彼岸を迎えたころから、モクレン、アンズ、ハナモモ、コブシ、レンギョウ、コキヤナギ、ジンチョウゲなどが一斉に開花するんよ。皆さんが目で見る自然の移り変わりこそ、暦そのものなんですね。

冬になると、僕らやテレビやラジオは「寒い、寒い」と騒ぐが、これは旧暦どおり当たり前の寒さなんよ。
雪が降り過ぎるのも良くないことじゃけど、雪が降らん方がもっと良くないこと。氷結しすぎてしまうことも良くないことじゃけど、氷結せんのはもっと良くないことじゃろう。
寒くなる時は寒くならんといかん。冬の大根などの野菜もうまみが出らんし、鯉や寒ぶりだって脂が乗らん。春の食べ物すべてがおいしくなくなる。
土壌も同様に、菌が冬の間殺菌されず、逆に繁殖し、僕らの食べる野菜までもがなくなっていくがよ。暦や天気は、そういったことをいろいろと教えてくれるがね~。

僕ら庭師の仕事は、「キツい、汚い、危険」の3Kです。天気との戦いになる日もよくあるがよ。しかし、時期には時期の動きをせんと、庭木のスタイルが変わるんです。そう考えてみると、僕らは人一倍、寒さや暑さ、また湿度の高低を常に五感で感じながら労働させていただいているんじゃな。
時代も大きく変わり、ラクすることを覚えてしまった人間様は、そういう五感のすばらしい感性を失いつつある。これからをしっかり生き抜いていくためには、暦や天気とちょくちょくにらめっこしながら五感を研ぎすまし、ゆっくりじっくり考えて先を読み、自分自身を見極めていくことじゃ。

さあ、そろそろ庭道の学校「緑の学校」の準備を始めます。春に向け、意識を高めてぜひ会いましょう!
「樹木は決して裏切らない!」をテーマに、僕の大好きな「庭と緑の話」でいくがよ~!請うご期待。

<本日の造景食>

冬野菜

三浦半島の冬キャベツ
キャベツ蒸す
かつおぶしと醤油で食べる
長芋の塩胡椒オリーブ炒め

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