人はなぜ『道』を探すのか?庭道への道

バックナンバー

第7回
「松下幸之助」の精神は「庭の道」にあり

明治、大正、昭和を生き、平成元年(1989年)に94歳で生涯を閉じるまで、多くの激動期を乗り越えてきた、松下電器産業の創業者「松下幸之助」、この人こそ、そう!庭を愛し、庭と共に精神を磨き上げ、心の軸を整えた方です。そんな松下幸之助が心を宿した場所は「茶室」でした。あまり皆様には知られておらんけんど、京都府左京区南禅寺近くにある松下美術苑「真々庵」(しんしんあん)がその茶室です。松下幸之助は、そこで、緑・庭・草花木を見て精神を整えていたとされています。庭園には、琵琶湖から導かれた水が小川となって流れている素晴らしい場所なんよ。

松下幸之助は樹木や草花を見て生き方を学び、見識・眼力を身につけ、心を落ち着かせ精神を整えていきながら、常に社会に真正面から向き合い、ひとつひとつの出来事や問題を自らの問題として捉え、その解決策づくりに真摯(しんし)、かつ誠実に取り組んできた先生です。私は庭師として色々と考え、プロデュースしているなかで、必ず壁にぶち当たることがあります。松下幸之助の精神は、どんな時でも色々なことがあっても人間として「一流」の身に成り、心で自分自身の為のプロデュースができる気がするんよね。その精神論は庭師の僕だけではなくて、皆さんにもいえることかもしれん。

僕らは、自然と緑と向き合いながら志をどう持つべきなのか・・・、国家や会社が考えていることを待つのではなく、「我(われ)、今、何をすべきか!!」という意識を強く持ち、「志」の「事」(仕事)を考えていくべきじゃろう。環境、環境と騒ぎ立てる中、原発、原発ということがのしかかる、僕らは何を目的にすることが一番正しいことなのか・・・?誰も何も教えてはくれません。僕らはじっと耐えることしかないがね、「こらえる!!」この一言しかないです。昭和21年、松下幸之助がPHP研究所を設立しました(今でいう松下政経塾の基本です)。PHPはPeace and Happiness through prosperity(繁栄によって平和と幸福を!!)の意味で、PHP運動を通じて日本人としてあるいは日本国家としての考え方、あり方を追及していこうとしていたんよ。今から先、人間は「心」の問題が取り組まれてくることになるでしょう。自然、緑、樹木や草花に心を託して、心が宿る場所を見つけていただきたい。自分を無にして、自然、緑、樹木、草花や人間そのものを見続けていくことで、素晴らしいステキなモノに出会えるかもしれません。松下幸之助は全国15カ所の神社に茶室と庭を贈建しました。今から未来を生きる若者に何かを感じてもらいたい!!・・・・そう強く願います。

僕らは大切に物事を感じとっていきましょう。茶の湯の空間は、茶室と「露路」(庭)で成り立っており、庭造りの基本からなっておるんよ。また、“飛石”、“灯篭”、“つくばい”、この3セットは、庭の基本です。茶室を見る機会をつくりぜひ学んでみてください。

コメント